第12回身体知研究会
第12回研究会を以下のように開催しました:
- 日時:2012年3月8日(木)
- 場所:東京大学本郷キャンパス 工学部2号館92C2ラウンジ講義室
- 予稿集 [PDF(1.6 MB)] SKL-12 (21 pages)]
招待講講: 國吉 康夫(東京大学大学院 情報理工学系研究科)
題目:身体性情報構造と知能の創発・発達
[概要] 環境,身体,脳神経系を貫く相互作用群が身体性のもとで多様な構造を自発形成する.これが,想定外で破綻しない生物的知能の原理と考える.我々は,構成論的方法でこれを解明しつつある.人間とロボットの全身運動に見る身体性情報構造,それを駆動し発現させる行動創発原理,それらを基盤とした胎児・新生児のシミュレーションモデルにおける知能の創発と発達に向けた実験を紹介し,身体性情報構造とコツ,言語,意識の関係についても議論したい.
一般講演(4件)
山田 雅之(総合研究大学院大学),栗林 賢,諏訪 正樹(慶應義塾大学環境情報学部)
暗黙的スキルの伝達における研究手法の模索 ‐-- スポーツフィッシングでの事例紹介
[PDF(340 KB)] SKL-12-01 (pp. 1-pp. 6)]
[概要] 本研究はスポーツフィッシングにおけるスキルの伝達を対象とした研究手法の提案である.暗黙的スキルの伝達を対象とする研究では,実践過程そのものが分析対象となるため, 2011年に実施した実践過程を報告する.
橋詰 謙(大阪大学医学系研究科 健康スポーツ科学講座)
トップアスリートの身体知 その3 中西悠子氏(水泳競技・バタフライ・アテネ五輪銅メダリスト)
[PDF(160KB)] SKL-12-02 (pp. 7-pp. 9)]
[概要] 著者はトップアスリートの身体知(長年の経験によって身体に刻み込まれた知能)に興味を持っている.これまでに吉田孝久氏(陸上競技・走り高跳び・元日本記録保持者)と冨田洋之氏(体操競技・アテネ五輪団体金メダリスト)にインタビューを行ない,その要旨をこの研究会で発表してきた.今回は水泳競技の中西悠子氏の身体知を紹介する.彼女は165cmというさほど大きくない体格ながら,「楽に速く泳ぐ」をモットーに世界の強豪たちと戦ってきた.そこには従来の常識に囚われないの泳法,すなわち自身の身体特性や身体感覚を活かした泳法があった.それは日々の練習において多くのことを強く意識(制御)する中で,カスタマイズされたものであった.
松原 正樹(慶應義塾大学大学院理工学研究科), 栗林 賢(慶應義塾大学SFC研究所), 忽滑谷 春佳(慶應義塾大学環境情報学部), 筧 康明(慶應義塾大学環境情報学部)
自転車移動における風景の可聴化による環境知覚促進ツール
[PDF(540 KB)] SKL-12-03 (pp. 10-pp. 15)]
[概要] 散歩やサイクリングにおいて私たちは何気なく風景を知覚している.この暗黙的な風景の知覚を意識化することで風景への感性が開拓されると我々は考える.そこで本研究では視覚情報の可聴化をきっかけに思考が促進されるという仮説をもとに,自転車移動を対象に風景の変化を音楽へ変換することで風景の知覚を豊かにするツールの開発とその実践例を報告する.
諏訪 正樹, 加藤 文俊(慶應義塾大学環境情報学部)
まち観帖(まちみちょう):まちを観て体感し語るための方法論
[PDF(510 KB)] SKL-12-04 (pp. 16-pp. 21)]
[概要] 我々は東京のまちを歩き,コミュニティの成立に想いを馳せた軌跡から,まちを語るための「型ことば」をカード化した.更に,型ことばに該当するスポットが集中するエリアに対して,型ことばの重ね合わせでそのエリアを語る「物語」を4編執筆した.まち観帖は型ことば集と物語の総称であり,まちを歩き,観て,楽しさを語り伝えるメディアとして機能する.
プログラム(敬称略)
13:15-13:20 開会
13:20-14:00 山田 雅之, 暗黙的スキルの伝達における研究手法の模索
14:00-14:40 橋詰 謙, トップアスリートの身体知 その3
14:40-14:50 休憩
14:50-16:20 招待講演 國吉 康夫, 身体性情報構造と知能の創発・発達
16:20-16:30 休憩
16:30-17:10 松原 正樹+忽滑谷 春佳, 自転車移動における風景の可聴化による環境知覚促進ツール
17:10-17:50 諏訪 正樹, まち観帖: まちを観て体感し語るための方法論
17:50-18:00 閉会
主査(代表) 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
主幹事 諏訪正樹 (慶應義塾大学)
幹事
- 古川康一 (嘉悦大学)
- 橋詰 謙 (大阪大学)
- 大武 美保子(東京大学)
- 松浦 慶総(横浜国立大学)
問い合わせ先
skl-reg(at)jaist.ac.jp
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