身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

HOME | 活動概要 | 第23回研究会のご報告

更新日 2020-01-24 | 作成日 2015-10-14

身体知研究会

第23回研究会を以下のように開催しました:



小シンポジウム「古い街並みを保全する職人技の継承」

 11時00分から14時30分まで (13時30分から14時30分まで金沢職人大学校見学)

金沢は戦争で空爆を受けなかったため古い家屋が数多く残っています.その規模は日本有数とされており,その魅力から多くの観光客が訪れるところとなっています.古い街並みは偶然残ったわけではありません.近代化の波に洗われ,町家など由緒ある建造物が壊されそうになった時期もありました.有志が街並み保存の重要性に気付き,そのための仕組みを整えたことが今日の姿につながっています.金沢市の取り組みに特徴的なのは古い家屋の維持に必要な技能を継承する仕組みを併せて整えたことです.市民が保全活動に参加できる仕組みを作ったことで,持続的に街並みを保てるようになりました.本特集ではこういった金沢市(自治体)の取り組みについて,担当の方にご講演いただくとともに,技能が継承されている金沢職人大学校の活動を見学させていただきました.
[ご協力]

  1. 石浦裕治氏(金沢市 文化スポーツ局 歴史都市推進課 町家保全活用室長)
  2. 中田政晴氏(金沢職人大学校 事務長) 
  3. 戸石久徳氏(金沢職人大学校 歴史的建造物修復技術専門員) 

[参考URL]
歴史都市金沢のまちづくり
公益社団法人 金沢職人大学校
金沢市歴史都市推進課
 

一般講演 SIG-SKL(11件)

○今福 翔太, 白山 晋 (東京大)
スポーツ競技力向上のためのQuiet Eyeの計測と訓練手法に関する研究
[LinkIcon[PDF]SKL-23-01 (pp. 1-6)
[概要] スポーツ競技力向上に関連してQuiet Eyeという視線運動が注目されている,しかし,Quiet Eyeの計測手法には不明な点が多い.本稿では,Quiet Eyeの計測手法を提案し,訓練手法について検討する.
 
○中塚 智哉, 松田 浩一 (岩手県立大学)
和太鼓のインパクト時の「脱力」技能の定量化
[LinkIcon[PDF]SKL-23-02 (pp. 7-12)
[概要] 本研究では,和太鼓における重要な技能である「脱力」の学習支援のための,インパクト時の脱力技能の定量化アルゴリズムを提案する.定量化結果と指導者の知見の比較により,アルゴリズムの妥当性を確認した.
 
○Rogelio Isaac Garza Villarreal, Tsutomu Fujinami (JAIST)
Characterization of tea whisking by Japanese Tea Ceremony performers
[LinkIcon[PDF]SKL-23-03 (pp. 13-20)
[Abstract] We have been able to prove that subtle, small differences in the movements of practitioners of the Japanese Tea Ceremony are not trivial and thus are enough to characterize the whisking. This characterization showed that the practitioners follow a path that is where the motion converges to. In order to produce the movements over this track, the whole arm is needed. We have demonstrated that coordination is a key element of a good whisking action. By this effect, we have introduced the skills of the Japanese Tea Ceremony practitioners to the light of skill science.
 
○鈴木 和樹, 伊藤 毅志 (電気通信大学)
少林寺拳法初心者の技習得に伴う身体表象形成過程
[LinkIcon[PDF]SKL-23-04 (pp. 21-25)
[概要] 初心者が身体スキルを覚えることは大きなコストが伴う.本研究では,少林寺拳法を題材に初心者が一通りの型を覚えるまでの身体表象形成過程を発話と行動記録の分析する.
 
○王 萌飛, 藤波 努 (JAIST)
リズムによる指タッピング課題トレーニングが視覚空間ワーキングメモリに及ぼす影響
[LinkIcon[PDF]SKL-23-05 (pp. 26-30)
[概要] 本研究では,リズムによる両手指タッピング課題トレーニングにより,複数の課題によって脳が刺激を受け,短期記憶および視覚空間性ワーキングメモリに好影響があるという仮設を検証する.リズムには構造の違いにより多くの種類がある.その中でどのようなリズムがワーキングメモリに一番影響するのかを検証する.
 
○王 少如, 藤波 努 (JAIST)
筋電図を用いた二胡演奏における初心者と熟練者の運弓動作の違いの解析
[LinkIcon[PDF]SKL-23-06 (pp. 31-38)
[概要] 二胡演奏の基本的な運弓動作を筋電図にもとづいて分析した.運弓時の各筋肉の役割や活動度を調べて熟練者と初心者の違いを明らかにした.母指球筋,三角筋前部の,橈側手根屈筋(下)の筋活動が初心者と熟練者の主な違いである.熟練者では移弦動作時に母指球筋,三角筋前部,橈側手根,屈筋(下)の順で活性化するパターンが見いだされた.
 
○堀内 隆仁, 諏訪 正樹 (慶應義塾大学)
身体スキルと向き合い続ける −拡張される身体意識−
[LinkIcon[PDF]SKL-23-07 (pp. 39-45)
第一著者の競技者としての実践(陸上十種競技)から,身体スキルと向き合い続けることは,単にパフォーマンスの着眼点を得るに留まらず,身体スキルと向き合う姿勢それ自体をも進化させることを述べる.
 
○児玉 謙太郎 (神奈川大学), 山際 英男
全身協調バランス・トレーニング“スラックライン”の課題特定的効果
[LinkIcon[PDF]SKL-23-08 (pp. 46-51)
[概要] 本研究では,バランス・スポーツSlacklineのバランス・トレーニングとしての効果を検証する.本発表では,その予備実験の経過を報告し,とくに課題特定的なバランス能力の変化,パフォーマンスの熟達過程について議論する.
 
○鳥居 拓馬, 日高 昇平 (JAIST)
[LinkIcon[PDF]SKL-23-09 (pp. 52-53)
身体運動の模倣メカニズム解明に向けた力学系同定の試み
[概要] 身体運動の模倣では相手の運動と対応づく力学系の同定が求められる.本研究では,点次元に着目した予備実験を行い,理論的に単純な力学系が同定できることを示す.
 
○永井 孝, 崎本 貴之, 香山 瑞恵 (信州大学大学院)
美術入門者に対するドローイングプロセスモデルによる学習支援ツールの検討[LinkIcon[PDF]SKL-23-10 (pp. 54-58)
[概要] ドローイングは美術学習における基礎的なスキルの一つとされ,入門者はこのスキルを習得する必要がある.本研究の目的は美術入門者のためのドローイング学習支援システムの構築にある.本稿では本システムについて概観し,ドローイングプロセスモデルによる学習支援ツールについて述べる.
 
○由田 徹, 永井 由佳里 (JAIST)
古民家再生における建築のデザイン創造に関する研究 ‐ 金沢市での町屋建築の事例から ‐
[LinkIcon[PDF]SKL-23-11 (pp. 59-64)
[概要] 持続可能な社会の実現において,古い木造建築の活用が着目されている. 本研究は,建築設計やデザインの実務を基盤とする研究者の一人が自ら実践したデザイン事例について,内部視点で捉え内省分析を実施した.木造建築におけるデザインの課題やデザイン観を報告する.
 
 
 
SIG-KST(6件)
 
○石田 和成 (広島工業大)
定量的データにもとづくアクションスポーツトレーニングの試み
[概要] スポーツトレーニングにおけるトレーナーの助言はトレーニーのスキル向上において主要な役割を果たす.またビデオカメラを用いることにより,スキル習得の程度を視覚的に確認することができる.しかし,人間の言語は曖昧さや意味の多義性を持つため,トレーナーの助言をトレーニーが誤って解釈する場合がある.また瞬間的な微小動作については,ビデオカメラによる動作特定は難しい.そのため,本研究ではウェアラブルセンサを用いた定量的データの計測,分析,およびトレーニング事例を報告する.
 
〇崎本 貴之, 永井 孝, 香山 瑞恵, 橋本 昌巳 (信州大)
ドローイング学習支援システムにおけるドローイング自動評価機能の性能向上のための指
導対象ハッチング同定アルゴリズムに関する研究
[概要] 先行研究において,ドローイングのスキル獲得を目的とした学習支援システムが構築,運用されてきた.本研究は,本システムの自動評価機能の実装および性能向上を目的として,システムによって蓄積されたデータの解析と,線種判定アルゴリズムの改良を行う.本稿では,熟練者と初心者のドローイングの比較結果をもとに行った,複雑線という線種についての新しい判定アルゴリズムの適用と結果,そして評価について述べる.
 
稗方 和夫, 満行 泰河, ○上野 隆治, 和田 良太 (東京大)
船舶運航シミュレータを用いた海事産業へのIoT技術導入評価に関する研究
[概要] 海事産業へのIoT技術導入を考える上で,その多種多様な機能を定量的に比較検討することが必要になる.本研究では,船舶運航サービスを運航・荷役・入渠の3状態でモデル化した,荷主のQCD(安全性・経済性・納期確実性)を評価軸とする船舶運航シミュレータを作成し,入力パラメータ値の変更によってIoT技術の影響を評価する手法を提案する.ケーススタディとして,実際に考案されている多種のIoT技術の導入評価を行うことで,技術成熟度を考慮した比較評価が可能であることを示した.
 
馬 沖, ○平方 勝 (海上・港湾・航空技術研究所)
ニューラルネットワークを活用した船内騒音予測について
[概要] 国際海事機関において騒音コードが義務化されたことにより,船内騒音予測の必要性が増した.船内騒音予測のひとつに,Janssen法と呼ばれる同型船の騒音計測データを活用した経験的な予測手法がある.この経験的手法にかわって,計測データの背後にある知識をニューラルネットワークにより自動学習させ,学習結果をもとに汎用性のある騒音予測を行う手法の開発を行っている.類似船の探索と類似船の騒音学習結果を用いた騒音予測精度について報告する.
 
満行 泰河, ○後藤 拓矢, 稗方 和夫 (東京大学), Bryan Moser (MIT)
要求変更による手戻りを考慮した混合アジャイル開発プロジェクトの設計に関する研究
[概要] 本研究では,要求変更による手戻りを抑えるため,混合アジャイル開発プロジェクトの設計手法を提案する.具体的には,開発プロセスのアジリティをモデル化し,そのモデルに基づく開発プロセスシミュレータを開発した.実際の開発プロジェクトを想定したケーススタディで,手法を用いて段階的に異なるアジリティの開発プロセスを設計し,感度解析によって,モジュール独立性によらずアジリティを大きくすることの効果の有用性を示した.
 
白山 晋 (東京大), 高藤 圭一郎 (西日本工業大), ○大澤 理恵, 盆子原 直己 (東京大)
視線分析による竹とんぼの飛ばし方の定量的記述に関する基礎的研究
[概要] 惑星探査などの用途に有用とされる射出型飛翔体の実用化には,飛翔形態の再現性を確保できる発射台が必要になるが,その設計法は確立されていない.一方,人間の飛ばし方を模倣した発射台が有力とされているが,人間の模倣という点では多くの定性的な要素が含まれ課題も多い.このため,設計法の確立には,人間の飛ばし方の定量的記述が必要になっている.これに対し,本研究では,視線分析による定量的な記述法の確立を目指している.本稿では,視線分析における視覚刺激の大きさの影響について検討する.
 
 

プログラム (敬称略) 

09:00 - 09:20 開場
09:20 - 09:30 開会
09:30 - 09:50 王萌飛, リズムによる指タッピング課題トレーニングが視覚空間ワーキングメモリに及ぼす影響
09:50 - 10:10 石田和成, 定量的データにもとづくアクションスポーツトレーニングの試み
10:10 - 10:30 永井孝, 美術入門者に対するドローイングプロセスモデルによる学習支援ツールの検討
10:30 - 10:50 崎本貴之, ドローイング学習支援システムにおけるドローイング自動評価機能の性能向上のための指導対象ハッチング同定アルゴリズムに関する研究
10:50 - 11:00 休憩
11:00 - 12:00 [招待講演] 石浦裕治, 歴史都市金沢のまちづくり
12:00 - 13:30 昼食 & 移動
13:30 - 14:30 [見学] 戸石久徳・中田政晴, 金沢職人大学校見学 
14:30 - 15:00 移動 & 休憩
15:00 - 15:20 由田徹, 古民家再生における建築のデザイン創造に関する研究 ‐金沢市での町屋建築の事例から-
15:20 - 15:40 上野隆治, 船舶運航シミュレータを用いた海事産業へのIoT技術導入評価に関する研究
15:40 - 16:00 平方勝, ニューラルネットワークを活用した船内騒音予測について
16:00 - 16:20 堀内隆仁, 傾聴・着眼−身体感覚を呼び起こしてスキルを追究する
16:20 - 16:30 休憩
16:30 - 16:50 中塚智哉, 和太鼓のインパクト時の「脱力」技能の定量化
16:50 - 17:10 後藤拓矢, 要求変更による手戻りを考慮した混合アジャイル開発プロジェクトの設計に関する研究
17:10 - 17:30 今福翔太, スポーツ競技力向上のためのQuiet Eyeの計測と訓練手法に関する研究
17:30 - 17:50 大澤理恵, 視線分析による竹とんぼの飛ばし方の定量的記述に関する基礎的研究
17:50 - 18:00 休憩
18:00 - 18:20 児玉謙太郎, 全身協調バランス・トレーニング“スラックライン”の課題特定的効果
18:20 - 18:40 鈴木和樹, 少林寺拳法初心者の技習得に伴う身体表象形成過程
18:40 - 19:00 Rogelio Garza, Characterization of tea whisking by Japanese Tea Ceremony performers
19:00 - 19:20 王少如, 筋電図を用いた二胡演奏における初心者と熟練者の運弓動作の違いの解析
19:20 - 19:40 鳥居拓馬, 身体運動の模倣メカニズム解明に向けた力学系同定の試み
19:40 - 20:30 討論
 
 

 
SIG-SKL 身体知研究会 
主査(代表) 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
主幹事 諏訪正樹 (慶應義塾大学)
幹事 

  • 橋詰 謙 (大阪大学) 
  • 大武 美保子(千葉大学)
  • 松浦 慶総(横浜国立大学)
  • 奥野 敬丞(理化学研究所)

 
SIG-KST  LinkIcon知識・技術・技能の伝承支援研究会
主査(代表) 稗方和夫 (東京大学大学院新領域創成科学研究科)
主幹事 古川慈之(産業技術総合研究所)
幹事 

  • 青島大悟(株式会社ツールラボ)
  • 坂口憲一(株式会社テクノソリューション)
  • 佐久間正剛(株式会社東芝)
  • 松尾宏平(海上技術安全研究所)

 

問い合わせ先

 skl-reg(at)jaist.ac.jp

 上記(at)部分は@マークに置き換えてください






























王萌飛




石田和成




永井孝




崎本貴之




由田徹




上野隆治




平方勝




中塚智哉




後藤拓矢




今福翔太




大澤理恵




児玉謙太郎




鈴木和樹




Rogelio Garza




王少如




鳥居拓馬




金沢職人大学校見学_1




金沢職人大学校見学_2




金沢職人大学校見学_3




金沢職人大学校見学_4




金沢職人大学校見学_5