身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2020-01-24 | 作成日 2015-10-14

身体知研究会(発表・参加募集)

第21回研究会を以下のように開催しました:

  • 日時:2015年3月14日(土)
  • 特集「身体知研究 これまでの10年・これからの10年」
  • 場所:千葉大学西千葉キャンパス・自然科学総合研究棟2・2階マルチメディア会議室
  • LinkIcon千葉大学西千葉キャンパスへの交通案内
  • 参加費:無料
  • 予稿集 [LinkIconPDF暫定版(3.5MB)] SKL-21 (27 pages) ] [LinkIconPDF 別冊(200KB)] (5 pages) ]

[概要] 身体知研究会は前身となった研究会から数えて来年度,10周年を迎えます.これを機会に今回の研究会では,これまでの10年を振り返るとともに,これからの10年の方向性を皆様と一緒に考えてみたいと思います.

一般講演

中屋 敷恒, 松田 浩一 (岩手県立大学)
複数筋電位の可視化による重筋作業分析についての一検討
LinkIcon[PDF](2.0MB)] SKL-21-01 (pp. 1-6)
本研究では,複数部位に装着した筋電位センサのデータを可視化し,複数の被験者の比較を容易にする手法を提案する.提案手法により重筋作業における熟練者と初心者の動作の質の差を分析した結果を報告する.

荒井 克仁,松田 浩一 (岩手県立大学)
歩行のテンポに着目した角速度による歩行の安心度測定法
LinkIcon[PDF](700KB)] SKL-21-02 (pp. 7-11)
リハビリテーションにおける歩行評価では,転倒しないことが重要であり,転倒可能性を経験的に判断している.本研究では,その指標を安心度と定義し,定量的に測定可能となる手法を提案する.

Keisuke Okuno, Takeshi Kurata, Yoshikazu Seki, Masakatsu Kourogi (AIST), Jun Ishikawa (University of Shizuoka)
Smartphone-based Talking Navigation System for Walking Training
LinkIcon[PDF] 参考資料 (1.3MB)] SKL-21-03 (pp. 12-15)
We report on a development of smartphone-based talking navigation system, tactile map/trajectory creation system, and analysis of irregular motions in experiments with visually impaired pedestrians.

工藤 喬也, 松田 浩一 (岩手県立大学)
和太鼓におけるリズムのズレ提示法による学習効果の違い
LinkIcon[PDF] (930KB)] SKL-21-04 (pp. 16-23)
和太鼓において,学習者が自身のリズムを認識することは重要であるが,客観的に知ることは難しい.本研究では,和太鼓学習者へのリズムのズレ提示システムを開発し,その学習効果を検証した.

橋詰 謙(大阪大学)
片麻痺がある方々とのスキーツアー - “コスモス”:30年間の実践 -
LinkIcon[PDF] (220KB)] SKL-21-05 (pp. 24-27)
「コスモス」は1986年に設立された脳卒中後片麻痺の後遺症を有する方々を中心としたスキークラブであり,本年で30回のツアーを行なってきた.本発表ではこのツアーの実施概要を紹介し,片麻痺を有する方々のスキーの現状や可能性などについて議論する.

特集「身体知研究 これまでの10年・これからの10年」

[LinkIconPDF 別冊(200KB)] (5 pages) ]

身体知研究会は前身となった研究会から数えて来年度,10周年を迎えます.(第一回 目は2005年9月28日,北陸先端科学技術大学院大学・東京八重洲キャンパスにて,その当時古川先生が研究代表者であった科研プロジェクトの活動の一環として開催されまし た.)これを機会に3月14日の研究会では,これまでの10年を振り返るとともに,これからの10年の方向性を皆様と一緒に考えてみたいと思います.10年間,私自身の歩みは遅遅としており,何を生み出したのか定かでないところもありますが,10年もつづけていたので,それなりに気付きがありました.

 以下,藤波のメモです:

[研究領域について]
 「スポーツ科学,人工知能,認知科学,バイオメカニズムなどの諸科学に渡る横断領域」と謳っているが,横断領域という感じがない.バイオメカニズムに関する発表は少ない.スポーツ科学は怪我予防など,技能以外のことに注目している感がある.人工知能と認知科学にどのような貢献をしているのかが明らかではない.従来の諸領域に還元できない何か新しいことをしているように思われる.

[研究目的について]
 知能と身体の関わりを明らかにするとしているが,身体そのものが主題となることは少ない.行為や状況など,身体が背景であったり,構成要素のひとつとして現れることが多い.身体自体は隠れていたり,溶け込んでいたりして明示的に取り上げられることは稀である.状況により誘発される行為,そこから感じ取られる印象,それにより導びかれる意味などが本質と思われる.

[研究対象]
 身体技能に焦点をあてているが,生活を楽しむことや介護の工夫なども含まれる.これらを含む,より広い概念が求められているように思う.「行為・印象・意味」に着目するなら,状況を整えること,感性を高めること,隠れた意味を見出すことが本題であるように思われる.体がどのように動くのかといったことは,そういったことに比べると皮相的である.巧みな動きの背後に本質(環境要因,鍛錬,創意工夫など)がある.

[アプローチ]
 概ね現状を表していると思うが,相互の関連を説明する必要がある.自己観察(一人称的視点),コーチング(二人称的視点),客観的分析(三人称的視点)を柔軟に行き来しつつ,何か(新しい表現や技法など)を創造することが理想型であろう.創造活動のなかで,新しい表現や伝承の工夫,斬新なデータ解析手法などが生まれてくる.これらの成果のうち科学的といえるのは最後の客観的事実に基づくもののみであるが,前二者の価値も等しく認めるべきであるし,そのような姿勢が本研究会の独創性につながるだろう.

[特徴]
 応用研究を盛んにして,そこから理論的な課題を見つけ出す努力がいる.客観的分析(三人称的視点)に偏らないこと,自己観察(一人称的視点)やコーチング(二人称的視点)を同等に重視することが本会の活動をユニークなものとすると期待される.

[課題]
 自己観察(一人称的視点)やコーチング(二人称的視点),客観的分析(三人称的視点)に関する方法論を整えること,およびこれら異なった視点をどのように統合し,活用するかといった実践上の問題がある.(以上,藤波努)

といったことなどを話題として,皆様といろいろ議論できたらうれしく思います.

プログラム(敬称略)

<一般講演>
09:50-10:00 開会
10:00-10:40 中屋敷 恒, 松田 浩一
 複数筋電位の可視化による重筋作業分析についての一検討
10:40-11:20 荒井 克仁, 松田 浩一
 歩行のテンポに着目した角速度による歩行の安心度測定法
11:20-12:00 奥野敬丞/Keisuke Okuno
Smartphone-based Talking Navigation System for Walking Training

=== 12:00-13:30 昼食 1時間30分 ===

13:30-14:20 工藤 喬也, 松田 浩一
 和太鼓におけるリズムのズレ提示法による学習効果の違い
14:20-14:50 橋詰 謙
 片麻痺がある方々とのスキーツアー - “コスモス”:30年間の実践 -
(休憩10分)
15:00-16:30 登壇予定者:古川, 松浦, 諏訪, 大武, 奥野, 藤波(以上から3名程度を選出)

パネル討論 「身体知研究 これまでの10年・これからの10年」
16:30-16:40 閉会
(17時30分以降 懇親会を予定しています)

主査(代表) 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
主幹事 諏訪正樹 (慶應義塾大学)
幹事 

  • 古川康一 (嘉悦大学) 
  • 橋詰 謙 (大阪大学) 
  • 大武 美保子(千葉大学)
  • 松浦 慶総(横浜国立大学)
  • 奥野 敬丞(産業技術総合研究所)

聴講を希望される場合

[発表なしで聴講のみ希望される場合]
・参加申込先:skl-reg(at)jaist.ac.jp
 上記(at)部分は@マークに置き換えてください
 下記のフォームに必要事項を記入して2015年3月12日までにお送りください.
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(1)参加者氏名:
(2)参加者連絡先
氏名:
所属:
E-mail:
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聴講申し込みは必須ではありませんが、配付資料の部数を事前に把握したいのでたとえ前日になってもご連絡いただけると助かります。

問い合わせ先

 skl-reg(at)jaist.ac.jp
 上記(at)部分は@マークに置き換えてください
























中屋敷 恒



荒井 克仁



奥野敬丞



工藤 喬也



橋詰 謙