身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2020-01-24 | 作成日 2015-10-14

身体知研究会

第16回研究会を以下のように開催しました:

一般講演  

○中濱正宜, 嶋津恵子 (慶應義塾大学大学院)
素人初心者向けゴルフスイングの効率的指導ポイントの発見
[LinkIconPDF(400 KB)] SKL-16-01 (pp. 1-5)]
一般にゴルフの技術を取得する方法として、専門講師によるレッスンの受講や、高機能の練習器具の利用があるが、コストが高く効果が現れるまでに時間を要する。一方、いくつかの先行研究を整理すると、ゴルフスイングのモデルを構成する時系列フェーズの特定個所に集中して強制することで、初心者ゴルファーが、比較的短期間で技術習得が出来る可能性があることを発見した。これを実際のスウィング分析で確認した結果を報告する.

○奥野敬丞,吉永崇,有田大作 (九州先端科学技術研究所)
[LinkIconPDF(80 KB)] SKL-16-02 (pp. 6-7)]
バットスイングの加速度とバット-ボール衝突後の打球初速度の関係に関する考察
打球初速度は打撃時のバットのスイング速度のみに依存するとの定説に対して,支えになっているNathanのモデル(AJP2000)にバットの加速度運動を加味し,運動方程式を立て解析.スイング加速度と打球飛距離の関係に関して定説を書き換える可能性のある結果を報告・議論する

○日高昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
リズム運動の次元:不変量による協調運動の分析
[LinkIconPDF(900 KB)] SKL-16-03 (pp. 8-13)]
本研究では、身体運動をある種の力学系とみなし、その不変的構造の重要性を指摘する力学的不変量仮説(日高, 2013)の立場から、人の複雑なリズム運動の解析を行った。力学的不変量仮説では、身体運動を本質的にある種の力学系とみなし、その座標不変な性質の推定が主たる運動の計算処理であるとする。この観点からは、力学系の不変量の一つであるアトラクターのハウスドルフ次元は、運動の特徴付けとして重要な役割を果たすことが予測される。これを検討するため、人のリズム運動時の速度データの時系列解析を行った。その結果、複数の演奏者や運動速度条件に関わらず、リズム運動を行う手先や楽器部に特徴的な次元が推定された。この結果は、人の運動の特徴付けに不変量が有効であることを示唆し、力学的不変量仮説を支持する新たな知見であるとみなせる。

○小笠原義仁, 大石進一 (早稲田大学)
我々の前に立ち現れる現象について
[LinkIconPDF(70 KB)] SKL-16-04 (pp. 14-17)]
「我々の前に立ち現れる現象(事象、因果律)とは何か」という問題について、発表者独自の概念であるprimitive chaosを用いて迫る事を目的とした研究の発表である。

○得丸公明 (衛星システムエンジニア)
言語の生物学的構造 − チョムスキーの生得説とピアジェの獲得説はピアジェ説が正しいのではないか
[LinkIconPDF(1.4MB)] SKL-16-05 (pp. 18-25)]
1975年に行なわれた発達心理学者のピアジェと、言語学者チョムスキーの論争は、言語が構築されるものか(constructionism)あるいは生得か(innatism)をめぐるものであった。筆者は、第19回国際言語学者会議で「概念の分子構造」「文法の量子生力学」についてポスター発表を2本行なったが、それは、言語と意識は脳室内で獲得され思考される免疫記憶のネットワークであるというもので、論争はピアジェに軍配が上がるという結論になった。

○布山美慕, 諏訪正樹 (慶応義塾大学大学院)
読書行為の熱中過程—読書中の映像分析による熱中状態変遷の観察
[LinkIconPDF(3MB)] SKL-16-06 (pp. 26-34)]
読書に熱中していく身体の特徴を、長編10作品を読む姿を読み初めから終りまで録画し、作品内容と合わせて分析した。その結果、身体的特徴や読む速度の安定性から、読書へ段階的に熱中していく状態の変位が観察された。

○浦上咲恵, 諏訪正樹, 井出祐昭 (慶応義塾大学大学院)
毎日の「音essay」執筆活動による感性開拓を試みる
[LinkIconPDF(800KB)] SKL-16-07 (pp. 35-42)]
重要な音を知ることは、音による生活デザインにおける課 題の一つである。本研究では毎日のエッセイ執筆活動により自身が音に託す役割及び依存関係を掘り起こしその効用を分析した。

プログラム

10:00-10:30 中濱正宜, 素人初心者向けゴルフスイングの効率的指導ポイントの発見
10:30-11:00 奥野敬丞, バットスイングの加速度とバット-ボール衝突後の打球初速度の関係に関する考察
11:00-11:30 日高昇平, リズム運動の次元
11:30-12:00 小笠原義仁, 我々の前に立ち現れる現象について
12:00-13:30 昼食
13:30-14:00 得丸公明, 言語の生物学的構造 − チョムスキーの生得説とピアジェの獲得説はピアジェ説が正しいのではないか
14:00-14:30 布山美慕, 読書行為の熱中過程—読書中の映像分析による熱中状態変遷の観察
14:30-15:00 浦上咲恵, 毎日の「音essay」執筆活動による感性開拓を試みる
15:00-15:45 交流ブレイク(総合受付前,小会議室)
15:45-16:45 パネルディスカッション, 「一人称視点でみる技能伝承の諸問題」(SIG-KST, SKL連携企画)
特集:「一人称研究の勧め」人工知能学会誌 Vol. 28 No. 5 (2013 年9月)を受けて、両研究会でこのテーマについて議論しました。


主査(代表) 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
主幹事 諏訪正樹 (慶應義塾大学)
幹事 

  • 古川康一 (嘉悦大学) 
  • 橋詰 謙 (大阪大学) 
  • 大武 美保子(千葉大学)
  • 松浦 慶総(横浜国立大学)

今年度の活動予定

年度内に研究会を3回開催します.

  • 第17回研究会 2014年 1月11日(目白大学)にて開催します
  • 第18回研究会 2014年 3月初旬を予定しています

問い合わせ先

 skl-reg(at)jaist.ac.jp
 上記(at)部分は@マークに置き換えてください























中濱 正宜




奥野 敬丞



日高 昇平





小笠原 義仁



得丸 公明




布山 美慕




浦上 咲恵