身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2020-01-24 | 作成日 2015-10-14

身体知研究会

第6回研究会を以下のように開催しました:

招待講演: 三宅 美博(東京工業大学大学院総合理工学研究科)
講演題目:共創としてのコミュニケーションデザイン

  • 概要:人間のコミュニケーションを主観的領域のインターパーソナルな共有という観点から分析し、それを「共創システム」として人間と人工物のインタラクションの中に再構成する方法について説明します。ここでは人間を内側から捉えることによって、エクスプリシットな情報だけでなく、それと同時にインプリシットな「場」の重要性に注目し、創出的な知としてのコミュニケーションとそのデザインの可能性を検討します。これは人間が創りだしてきたさまざまな人工物(機械だけでなく社会システムなども含む)の設計論の基盤に深く関わっており、客観性に偏り過ぎ閉塞感に陥ってしまった現代の自己完結的システムが、身体とこころを回復するための手順とも解釈できるものです。具体的には、これまでわれわれが取り組んできた、主観的な時間とタイミングの共創に関する話題(「間(ま)」が合うこと)について、認知心理学に関わる基礎的研究からインタフェースとしての設計論まで、広い視点から研究成果をご紹介したいと思います。
  • 参考URL: http://www.myk.dis.titech.ac.jp/~miyake/miyake.htm

招待講演: 大金 邦成(九州大学大学院数理学研究院)
講演題目:鉄棒体操における「身体知」モデル - 要素と全体の両ダイナミクスの相互規定

  • 概要:鉄棒体操における「身体知」モデル -要素と全体の両ダイナミクスの相互規定-概要:生命システムの特徴は、状況の変動にかかわらずシステム自身が収束先を規定できることである。システムの収束先を規定するのに、制御理論やこれまでのモデルでは、システムの外から最適軌道を与えその軌道を満足するようシステム要素の振る舞いを隷従させることによって遂行してきた。本研究では、「収束先の自己決定」の仕組みの解明に向け、要素の固有のダイナミクスとそれらが統合したシステム全体のダイナミクスの関係に着目する。力学系理論の観点から、吸引域をエンコードする変数をシステム全体のダイナミクス(=大域変数)とみなす。大域変数の時間発展が要素間相互作用を決定することで、システムの収束先が適切に自己規定されうる数理的仕組みを紹介する。

一般講演(4件) 

江藤 香, 松居 辰則, 椋田 實, 樺澤 康夫(日本工業大学情報工学科)
初心者の気づきによるケアプラン策定過程におけるノウハウ情報表出の方法とその評価
[LinkIconPDF(368KB)] SKL-06-01 (pp. 01-pp. 08)]
[概要] 初心者の気づきによるケアプラン策定過程におけるノウハウ情報表出の方法とその評価
概要:ケアプラン策定過程におけるノウハウ情報の表出方法として、熟達者のケアプランを様々な形態で可視化して初心者に観察させることにより熟達者との差異を気づかせることを提案する。

福山 敦士, 松原 正樹, 諏訪 正樹(慶應義塾大学)
チームにおけるhowを考える文化の重要性
[LinkIconPDF(258KB)] SKL-06-02 (pp. 09-pp. 14)]
[概要] 本論文は、チームにおけるhowを考える文化の重要性を主張するものである。野球チームのコーチが、オーケストラの演奏者と一緒にオーケストラの演奏会や練習を見学し、互いの共通点・相違点を議論し、それぞれ実践を繰り返す中で、メタ的な要素を発見し合った。そのプロセスを示し、如何に主張を導き出したかを論ずる。

松原 正樹, 西山 武繁, 伊藤 貴一, 諏訪 正樹(慶應義塾大学)
身体的メタ認知を促進させるツールのデザイン
[LinkIconPDF(665KB)] SKL-06-03 (pp. 15-pp. 22)]
[概要] 本論文は、身体的メタ認知を促進させる目的としたツールにおいて、分節化と俯瞰を行うことで意味付けをアフォードすることの重要性を主張するものである。3つのツール「MotionPrism」「ScoreIlluminator」「あれこれりんく」の事例をもとにこれらの要素が如何に身体的メタ認知を促進しているかについて述べる。

三浦 哲都, 工藤 和俊, 大築 立志, 金久 博昭(東京大学大学院総合文化研究科)
全身リズム動作における動作モード
[LinkIconPDF(229KB)] SKL-06-04 (pp. 23-pp. 24)]
[概要] ストリートダンサーと非ダンサーにおける、全身リズム動作の安定性の比較から、全身リズム動作においてダウン(ビートと膝屈曲を同期)とアップ(ビートと膝伸展を同期)の2つの動作モードの存在が明らかになった。

プログラム(敬称略)

10:00-10:15 開会
10:15-10:55 江藤 香, 初心者の気づきによるケアプラン策定過程におけるノウハウ情報表出の方法とその評価
10:55-11:35 福山 敦士, チームにおけるhowを考える文化の重要性
11:35-12:15 松原 正樹, 身体的メタ認知を促進させるツールのデザイン
12:15-13:30 <昼食>
13:30-14:10 三浦 哲都, 全身リズム動作における動作モード
14:10-14:20 <休憩>
14:20-15:50 三宅 美博, 共創としてのコミュニケーションデザイン
15:50-16:05 <休憩>
16:05-17:35 大金 邦成, 鉄棒体操における「身体知」モデル
17:35-17:50 閉会

主査(代表) 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
主幹事 諏訪正樹 (慶應義塾大学)
幹事 

  • 古川康一 (慶應義塾大学) 
  • 橋詰 謙 (大阪大学) 
  • 工藤 和俊(東京大学)










三宅 美博(東京工業大学大学院総合理工学研究科)




















大金 邦成(九州大学大学院数理学研究院)















江藤 香(日本工業大学情報工学科)




福山 敦士(慶應義塾大学)


松原 正樹(慶應義塾大学)


西山 武繁(慶應義塾大学)


伊藤 貴一(慶應義塾大学)


諏訪 正樹(慶應義塾大学)


三浦 哲都(東京大学大学院総合文化研究科)


工藤 和俊(東京大学大学院総合文化研究科)