身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2020-01-24 | 作成日 2015-10-14

身体知研究会

第25回研究会を以下のように開催しました:



特集「気配」

 11時10分から12時10分まで

 今回は金沢工業大学・建築系・土田義郎先生に金沢の町を普段とは違った面からご紹介頂きます。「気配」と銘打ってみましたが、町の雰囲気というより、もう少し特定的な、ある場所・ある時間・ある角度で感じられる何かに接近してみたいと思います。そういった視点から古い街並みや景観を保存する意義を考えられたらと願っています。

招待講演「まちを耳であるく」

金沢工業大学・建築系・土田義郎先生
研究室HP 
概要:何でもないような風景が懐かしかったりする。まちの中のデティールがそんな感情を呼び起こすもとになっている。音はそんなデティールを構成する一つの要素である。音で雰囲気が決まってきたりする。サウンドスケープとは、何か装飾するようなものではなく、背景といった方が良い。スッピンの地肌である。そんな音を愉しむための方法や、音から環境をとらえる方法について語りたい。
キーワード
サウンドスケープとは何か
音の価値
サウンド・エデュケーションの色々
まちのアイデンティティ

 [その他の企画] 身体知を研究するスキル

身体知や技能といった複雑な対象を科学的に研究するためには、近代科学的アプローチだけでは充分でない。とくに人工知能や認知科学といった分野で、これらの研究を成果として発表していくための「スキル」について議論したい。
話題提供: 

児玉 謙太郎 (神奈川大学),
日高 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学),
岡田 将吾 (北陸先端科学技術大学院大学)

一般講演 18件

SIG-SKL(11件)

○小島匡顕,三宅礼華,香山瑞恵,橋本昌巳,二上貴夫 (信州大学大学院総合理工学研究科)
慣性計測装置における3次元加速度センサを用いた歩容評価指標の妥当性に関する研究
[LinkIcon[PDF]SKL-25-01 (pp. 01-08)
[概要] 本研究では,小型の慣性計測装置における3次元加速度データに基づく歩容評価指標の妥当性を検討する.通常歩行とは異なる10種類の歩行方法を実施し,安定性と効率性を算出した.その結果,歩行の特徴が評価値に反映され,妥当性があることが示唆された.

○永井 孝,香山 瑞恵 (信州大学大学院総合工学系研究科)
ドローイングプロセスグラフを用いた美術入門者に対するドローイング学習支援の可能性
[LinkIcon[PDF]SKL-25-02 (pp. 09-15)
[概要] ドローイングは,美術教育における基本的な技法であり,入門者が最初に学ぶべき内容とされる.本研究の目的は美術入門者に対するドローイング学習支援システムの構築である.本稿では,熟練者の描画プロセスにより設計したドローイングプロセスグラフについて,2013年から2016年度の学生の描画プロセスデータを基にドローイング学習支援への可能性について考察する.

○大海 悠太,児玉 謙太郎(神奈川大学),坂野 安希, 山本 正彦 (東京工芸大学工学部電子機械学科) 
Kinectを用いたスラックラインの熟達方法の検討
[LinkIcon[PDF]SKL-25-03 (pp. 16-19)
[概要] 実験協力者にスラックラインに片足立ちをしてもらい,その様子をKinectで測定,スケルトンデータから関節角度を取得し,熟達の鍵となる変数について分析を行なった.

○由田 徹-1, 前川 正美-1, 土田 義郎-2, 永井 由佳里-1
(1: 北陸先端科学技術大学院大学, 2:金沢工業大学)
環境心理調査手法の応用による感性要求の特定
[LinkIcon[PDF]SKL-25-04 (pp. 20-22)
[概要] To design and create the architecture that useful for society, identifying the requirements in the architecture and identifying the requirements is a basis to design creation of architecture. We built a model of how to identify the kansei requirements that can be utilized at the process of design creation in architecture. Considering previous studies on existing environmental psychology survey methods, we proposed a new method combinatorically developed taking into consideration the features and problems of each method. Focusing on the latency of the kansei requirements, it was required to clarify the kansei requirements in detail according to the actual situation, and examined the subjective thinking method to encourage the utterance by subjecting it subjectively. We proposed an observation model for the kansei requirements and examined the method. 

○高橋唯,松田浩一 (岩手県立大学大学院) 
角速度を用いた和太鼓におけるタメ動作の表出に関する一検討
[LinkIcon[PDF]SKL-25-05 (pp. 23-28)
[概要] 本研究では,和太鼓のバチさばきにおけるインパクト前のタメ動作に着目し,演奏者がどのような打ち方をしているのかを分析できる手法について検討した.手の甲に付けた角速度センサを用い,その波形特徴と映像を併せて見ることで,肉眼で見ていては分かりにくい打ち方の特徴が確認できることが分かった.

○菊地直樹,松田浩一 (岩手県立大学大学院)
ヒストグラムを用いた盛岡さんさ踊りにおける質の違いの分析方法の提案
[LinkIcon[PDF]SKL-25-06 (pp. 29-35)
[概要] 本研究では,盛岡さんさ踊りを対象とし,どの動きにより質の違いが生じているかを見つける手法を提案する.提案手法では,腰部の加速度データを用い,ヒストグラムから特徴部を絞り込むことを試みた.

○松浦慶総,高田一(横浜国立大学大学院工学研究院)
技能構造化手法による新たな技能学習法の提案と学習効果
[LinkIcon[PDF]SKL-25-07 (pp. 36-40)
[概要] 被覆アーク溶接技能を対象として,構造化した技能情報から学習初期段階で必要な身体動作のコツを中心とした新たな学習法を提案し,実技によりその学習効果の検証を行った.さらに気づきによる習熟過程での技能情報の変遷について考察を行った.

○堀内隆仁(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科) 諏訪正樹(慶應義塾大学環境情報学部),
陸上競技におけるスキル学習の仮説生成型研究身体・生活意識・ツールが共創する「野生の実践」
[LinkIcon[PDF]SKL-25-08 (pp. 41-48)
[概要] 本研究は,アスリートが行うべき「野生の実践」を問う.野生の実践とは,競技場に拘束された学びから解放され,「生活における身体・環境の双方に対して,直接的に意味を仕立てる状態である.本発表では,第一著者(陸上十種競技選手)による実例を示し,仮説提起する.

○吉田 康行(産総研), Arunas Bizokas*, Katusha Demidova*, 
中井 信一(ダンスジャルダン)中井 理恵(ダンスジャルダン)西村 拓一(産総研)
*Non-affiliated 
ペアダンス動作の相互作用ー競技社交ダンス世界チャンピオンを例にー
[LinkIcon[PDF]SKL-25-09 (pp. 49-51)
[概要] 動作の相互作用を検討するために競技社交ダンス世界チャンピオンの計測を行った.社交ダンスは男女の身体が直接に接触し,協調して踊る特徴を持つ.単独で踊った場合と組んで踊った場合の動作を比較し解析を行った.

○清水大地,平島雅也,岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
上演芸術における新奇な身体表現の創作過程:内的制約の変更に着目した検討
[LinkIcon[PDF]SKL-25-10 (pp. 52-58)
[概要] 上演芸術領域において魅力的な身体表現はどのように生成されるのか.本研究は,ブレイクダンスを取り上げ,新奇な身体表現が生み出される過程を定性的・定量的に検討したものである.その際,熟達したダンサーに実際に新奇な身体表現を数日に渡る取り組みを通じて生成してもらい,その過程を各身体部位へ着目した頻度や関節角度等の運動データによって検討した.結果として,長期的な取り組みを経て着目点や運動が大きく変化したこと,参考にした領域技術に対する理解・解釈といった内的な制約を大きく変化させて新奇な身体表現を生成したこと,が示唆された.

○今井 涼太,原口 誠 (北海道大学大学院 情報科学研究科)
筋駆動人体モデルを用いた動作プランニング
[LinkIcon[PDF]SKL-25-11 (pp. 59-64)
[概要] 多関節筋骨格系に基づく身体動作を,擬ーA*探索法の準最適解として求めるシステムを構築したのでその報告を行う.併せて,お手本動作の外形を真似ることにより,より習熟した筋駆動の動作を獲得する可能性について論じる.


SIG-KST(7件)

○大和田久司,田上宣昭,山下祐斗(パイオニア)
車室内音場特性データベースの構築
[概要] 我々は,車室内の音場特性のチューニング業務を行っている.このチューニング業務はエキスパートの聴感によるところが大きく,効率化や自動化が望まれる.チューニング業務においては,車室内の音場特性の測定を実施しており,この音場特性データを集めて活用することで,効率化や自動化が図れると考えられる.そこで,音場特性データの利活用を目的として,まずは音場特性データを蓄積するデータベースを構築したので報告する.

○古川慈之,近藤伸亮,高本仁志(産総研),笈田佳彰,坂本陽平,岡田伊策(富士通)
業務システム開発における業務知識のグラフ構造記述と可視化
[概要] 業務システム開発においては,構築するシステムの要素や構成に関する知識のみならず,そのシステムが自動化や効率化する対象となる業務そのものに関する知識が必要である.熟練者から若手・中堅に知識や経験を伝承するためにはまず記述する必要があるが,システム開発に必要な詳細度で業務に関する知識を記述すると,その記述量が膨大となり,結果として伝承に支障が出るという課題がある.本研究では,大規模な業務知識の一部をグラフ構造として記述し,知識の伝承を支援するインタラクティブな可視化手法を提案する.

○坂口憲一,仲山加奈子(テクノソリューション),池田悠平,岡田佳子,菅谷みどり(芝浦工大)
生体情報を用いたコミュニケーション客観評価の可能性検討
[概要] 人手不足が常態化しているIT業界では,プロジェクト単位における円滑なソフトウェア開発が求められており,その解決策として,顧客とベンダー,上司と部下の相互理解や士気向上のために,様々なコミュニケーション手法が提案されている.しかし,実環境において手法を正しく活用するには,自身の感情および相手の受け止め方を客観評価し,相手に合わせて適切な手法を選択する必要がある.本研究では,脳活動や自律神経の評価に加え,眼の動きに着目し,コミュニケーションの客観評価の可能性を検討する.

○村山卓弥,定方徹,井原雅行(NTT) 
マニュアル活用度調査を用いた暗黙知抽出評価手法
[概要] これまで我々は,ワークショップ形式で若手を入れて熟練者を刺激し,暗黙知を抽出する技能抽出手法を提案していた.しかし,提案手法により,どれだけ暗黙知を抽出できるかの評価はできていなかった.そこで今回,業務現場におけるマニュアル活用度を用いた暗黙知抽出評価手法を考案した.

○和中真之介,稗方和夫,満行泰河(東京大)
R&Dプロジェクト初期段階における意思決定支援プラットフォームの開発: 海事産業におけるケーススタディ
[概要] 本研究では,R&Dプロジェクト初期段階での意思決定を支援するプラットフォームの提案を行い,そのプロトタイプを開発した.提案プラットフォームでは,SystemsApproachに基づき,問題定義,システムモデリングを行い,モデルベースでの意思決定を支援する.ケーススタディとしてLNG燃料船の開発・導入に関して適用を行った.シミュレータの定性的な挙動を確かめるとともに,本プラットフォームの有用性について考察した.

○樽田泰宜(JAEA/福井大)
知識・技術・技能の伝承支援に関する考察 -言語化と表現化からの関係-
[概要] 知識・技術・技能の伝承支援研究会(SIG-KST)は2007年に人工知能学会第2種研究会として設立されて以降,これまで160編近い報告がなされている.これに対して古川は2014年度までのSIG-KST研究報告を対象に,視覚的な語彙を用いた体系化を提案し,精度を高めるには暗黙知・形式知の関係性などの重要性を指摘している.本研究では,この既存の体系化を知識科学・知識マネジメントの視点で新しい体系的な認識を提案し,同モデルを発展させることを目的とする.

馬沖,○平方勝,谷口智之(海上港湾航空研)
ディープラーニングによる船舶のタンク・ホールド内画像認識に関する研究
[概要] 船舶のタンク・ホールド内の点検にドローンを活用する動きがある.ドローンを活用することにより点検箇所へのアクセスが良くなる.一方,ドローンが撮影した画像は,撮影位置,撮影した部材,損傷の有無等の情報を理解することが困難な場面も予想される.そこで,ドローンが撮影したタンク・ホールド内画像から対象箇所の特定,塗膜健全性,損傷の有無を自動評価(画像認識)できるように,ディープラーニングによる画像認識を行い,実用化に向けたその精度を検証する.

 

発表なしで聴講のみ希望される場合

参加申込先:skl-reg(at)jaist.ac.jp
上記(at)部分は@マークに置き換えてください

下記のフォームに必要事項を記入してお送りください.

(1)参加者氏名:
(2)参加者連絡先
氏名:
所属:
E-mail:

聴講申し込みは必須ではありませんが、配付資料の部数を事前に把握したいのでたとえ前日でもご連絡いただけると助かります。

追記

北陸新幹線開業の効果で金沢は観光客らで賑わっております。中心部のホテルは予約が取りにくくなっておりますので、前泊または後泊される方は早めの予約をお勧めします。

プログラム (敬称略) 

09:20-11:00

小島 匡顕, 慣性計測装置における3次元加速度センサを用いた歩容評価指標の妥当性に関する研究
永井 孝, ドローイングプロセスグラフを用いた美術入門者に対するドローイング学習支援の可能性
古川 慈之, 業務システム開発における業務知識のグラフ構造記述と可視化
大海 悠太, Kinectを用いたスラックラインの熟達方法の検討
大和 田久司, 車室内音場特性データベースの構築

11:10-12:10 招待講演: 土田義郎先生

12:10-13:00 昼食

13:00-14:20

由田 徹, 環境心理調査手法の応用による感性要求の特定
高橋 唯, 角速度を用いた和太鼓におけるタメ動作の表出に関する一検討
菊地 直樹, ヒストグラムを用いた盛岡さんさ踊りにおける質の違いの分析方法の提案
坂口 憲一, 生体情報を用いたコミュニケーション客観評価の可能性検討

14:30-15:50

松浦 慶総, 技能構造化手法による新たな技能学習法の提案と学習効果
村山 卓弥, マニュアル活用度調査を用いた暗黙知抽出評価手法
堀内 隆仁, 陸上競技におけるスキル学習の仮説生成型研究身体・生活意識・ツールが共創する「野生の実践」
和中 真之介, R&Dプロジェクト初期段階における意思決定支援プラットフォームの開発:  海事産業におけるケーススタディ

16:00-17:40

吉田 康行, ペアダンス動作の相互作用ー競技社交ダンス世界チャンピオンを例にー
樽田 泰宜, 知識・技術・技能の伝承支援に関する考察 -言語化と表現化からの関係-
清水 大地, 上演芸術における新奇な身体表現の創作過程:内的制約の変更に着目した検討
平方 勝, ディープラーニングによる船舶のタンク・ホールド内画像認識に関する研究
今井 涼太, 筋駆動人体モデルを用いた動作プランニング

17:50-18:20 [企画] 身体知を研究するスキル

児玉 謙太郎 (神奈川大学)
日高 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
岡田 将吾 (北陸先端科学技術大学院大学)

18:20-20:00 全体討論




 
SIG-SKL 身体知研究会 
主査(代表) 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
主幹事 諏訪正樹 (慶應義塾大学)
幹事 

大武 美保子 (理化学研究所)
大海 悠太 (東京工芸大学)
児玉 謙太郎 (神奈川大学)
清水 大地 (東京大学)
橋詰 謙 (大阪大学)
松浦 慶総 (横浜国立大学)
松田 浩一 (岩手県立大学)

SIG-KST  LinkIcon知識・技術・技能の伝承支援研究会
主査(代表) 稗方和夫 (東京大学大学院新領域創成科学研究科)
主幹事 古川慈之(産業技術総合研究所)
幹事 

  • 青島大悟(株式会社ツールラボ)
  • 坂口憲一(株式会社テクノソリューション)
  • 松尾宏平(海上技術安全研究所)

 

問い合わせ先

 skl-reg(at)jaist.ac.jp

 上記(at)部分は@マークに置き換えてください



























小島 匡顕




永井 孝




古川 慈之




大海 悠太




大和 田久司




由田 徹




高橋 唯




菊地 直樹




松浦 慶総




村山 卓弥




吉田 康行




樽田 泰宜




清水 大地




今井 涼太




児玉 謙太郎




日高 昇平, 岡田 将吾




日高 昇平




会場の様子




終了時の懇親