身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2020-01-24 | 作成日 2015-10-14

身体知研究会(参加募集)

第13回研究会を以下のように開催しました:

  • 日時:2012年9月15日(土)
  • 場所:北陸先端科学技術大学院大学 先端領域社会人教育院 (東京サテライト)(品川駅下車 徒歩約10分)
  • 参加費:無料
  • 後援:北陸先端科学技術大学院大学
  • 予稿集 [LinkIconPDF(2 MB)] SKL-13 (19 pages)]

招待講講: 田中 彰吾(東海大学総合教育センター)

題目:身体知の概念とその射程
概要:そもそも「身体知」とは何なのだろうか。それは、どのような特徴を備えた知なのか。また、身体のどのような機能によって支えられている知なのか。本会は「身体知研究会」なのだから、こうした話は今さら不要かもしれない。ただ、身体知研究を支える視点や方法について再考しようとするなら、この種の議論もやはり重要であると思われる。本講演では、身体性哲学の源流であるメルロ=ポンティのテクストにさかのぼり、とくに身体図式(le schéma corporel)の議論を参照しながら、改めて身体知の概念と意義を明らかにする。そのうえで、「身体知」と呼ぶべき現象が持つ豊かな広がりについて、一定の理論的な見通しを与えてみたい。なお、今回の講演では、演者が東海大学で開催してきた身体知研究会の活動についても紹介させていただく予定である。今後の両会の交流のきっかけとなれば幸いである。
参考URL LinkIconhttp://www.geocities.jp/body_of_knowledge/

一般講演(4件) 

藤波努(北陸先端科学技術大学院大学)
ジェスチャーやダンスの意味
[LinkIconPDF(270 KB)] SKL-13-01 (pp. 1- 4)]
[概要] 身体知研究はスポーツや楽器演奏など人間の巧みな行為を扱ってきた.こういった行為は目的が明確であることから個々の動きの意味(有効性)を論じられる.しかしダンスや何気ない人間の動作(ジェスチャー)についてはどうだろうか.即興で踊っているダンサーは何を目標として踊っているのだろうか.そこに明確な意図を見いだすことは困難である.またそれ故に個々の動作の意味を捉えることも難しい.本発表では最近取り組んでいるダンスの研究を紹介しつつ,目的が明らかではない行為をどのように理解したらよいのかを議論する.

得丸公明(衛星システムエンジニア)
荒川修作の意味のメカニズムを解読する(4)
- 光への感受性を身体に教え込むバイオスクリーブハウス
[LinkIconPDF(480 KB)] SKL-13-02 (pp. 5-12)]
[付録(写真)LinkIconPDF(2.2 MB)]
[概要] 荒川修作(1936-2010)は,20世紀の日本が生んだ現代芸術家であるが,1960年代後半から,ヒトの意識の形成過程や意味とは何か という認識や意識の科学の最難題に挑戦していた.「意味のメカニズム」,「見るものがつくられる場」,「奈義の竜安寺 心」,「養老天命反転 地」,「Reversible Destiny: We Have Decided Not To Die」,「三鷹天命反転住宅」,「バイオスクリーブ・ハウス(生命を切りひらく家)」として提示された作品群は,身体の重心の位置と身体を取り巻く環境 との相互作用を通じて,我々の意識を人工的につくりだそうとする壮大な実験であった.筆者は,荒川修作の軌跡を概観し,遺作となったバイオス クリーブハウスで実際に体験した意識の変容(なつかしいと思う記憶の形成と,光を見るための手続き記憶の獲得)について報告する.
[参考文献] 一括ダウンロードはこちらからどうぞ (LinkIconzip or LinkIcongz 2.5MB)

  1. 荒川修作の「意味のメカニズム」を解読する - 天命反転という身体技法のもつ希望 [LinkIconPDF]
  2. 荒川修作の意味のメカニズムを解読する(2) - 荒川修作インタヴュー 「建築で人間の意識を生み出す」[LinkIconPDF]
  3. 荒川修作の意味のメカニズムを解読する(3) - 人類文明の論理エラーを発見し修復するために [LinkIconPDF]
  4. 文化的相対主義から生命相対主義への不可避的変遷 - ヒトに自然論理を実装するための最澄・道元・荒川修作の工夫 [LinkIconPDF]
  5. 仮想現実とは何か - ヒト脳内に構築される概念体系と天命反転をめぐって ~ 荒川修作に捧ぐ [LinkIconPDF]
  6. 人間を光と共振させる家 - 荒川修作最期の作品バイオスクリーブハウスを掃除して [LinkIconPDF]

古川康一(嘉悦大学ビジネス創造学部),
升田俊樹(チェリスト),
西山武繁(慶應義塾大学)
体の縮みが可制御性に及ぼす影響について
[LinkIconPDF(750 KB)] SKL-13-03 (pp. 13-18)]
[概要] 楽器演奏やスポーツなどにおいて,体の縮みはパフォーマンスの不具合をもたらし,思った通りに体を制御できないことがある.本論文では,このような「体の縮み」が「可制御性」に及ぼす影響について論じる.

林 勲(関西大学大学院),
姜 銀来(高知工科大学),
王 碩玉(高知工科大学)
特異値分解による身体動作の特徴表現
Knowledge Description of Body Motion Features Using Singular Value
Decomposition
[LinkIconPDF(80 KB)] SKL-13-04 (pp. 19)]
[概要] 近年,身体の動作に関与した様々な研究が行われている.内部モデル論では,身体を一つのモデルと仮定し,フィードバックとフィードフォワード制御からなる脳と身体間の閉回路で身体内部モデルを構成し,身体動作のしなやかさを説明している.本発表では,内部モデルを入出力データから得られる一つの関数モデルとして捉え,身体に装着した各種センサーから身体動作の時系列データを検出し,特異値分解を用いてその動作の特徴を抽出するモデルを提案する.具体的には,左特異ベクトルを用いた類似度と評価値から2種類の識別モデルを構成し,手招きのジェスチャーを識別する.また,特異値によって構成される3次元の超平面から歩行動作の識別を行う.最後に,本論文での特異値分解を用いた動作解析手法の特徴と意義について,考察を行う.
[参考文献]

  1. 姜 銀来, 林 勲, 王 碩玉, 特異値分解による運動動作の特徴獲得, 知能と情報 Vol. 24 (2012) No. 1, pp. 513-525.[LinkIconLINK to PDF]
  2. 姜 銀来, 林 勲, 王 碩玉, 分割時系列型特異値解析を用いた歩行困難の評価, 28th Fuzzy System Symposium (Nagoya, September 12-14, 2012).[LinkIconPDF]

プログラム

13:00-13:05 開会
13:05-13:45 藤波 努, ジェスチャーやダンスの意味
13:45-14:25 得丸 公明, 荒川修作の意味のメカニズムを解読する(4)
14:25-14:40 休憩
14:40-15:20 古川 康一, 体の縮みが可制御性に及ぼす影響について
15:20-16:00 林 勲, 特異値分解による身体動作の特徴表現
16:00-16:15 休憩
16:15-17:45 招待講演 田中 彰吾
17:45-17:55 閉会

今年度の活動予定(年度内に研究会を3回開催します)
 第13回研究会 2012年 9月15日(土) 東京・品川
 第14回研究会 2012年11月17日(土) 合同開催 - 慶応義塾大学 日吉キャンパス 來往舎
 第15回研究会 2013年 3月初旬を予定

主査(代表) 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
主幹事 諏訪正樹 (慶應義塾大学)
幹事 

  • 古川康一 (嘉悦大学) 
  • 橋詰 謙 (大阪大学) 
  • 大武 美保子(千葉大学)
  • 松浦 慶総(横浜国立大学)

問い合わせ先

 skl-reg(at)jaist.ac.jp
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