身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2020-01-24 | 作成日 2015-10-14

身体知研究会

第22回研究会を以下のように開催しました:

  • 日時:2016年 3月4日(金) 午前9時20分から午後8時00分まで
  • 場所:[石川県 金沢市] しいのき迎賓館  セミナー室A(市の中心部です)
  • 参加費:無料
  • 予稿集  [LinkIconPDF(10MB)] SKL-22 (41 pages)]
  • [前口上]第22回研究会は「知識・技術・技能の伝承支援研究会」(SIG-KST)と共同開催します。「知識・技術・技能の伝承支援研究会」とはこれまで毎年秋に行われる人工知能学会・合同研究会にて共同開催してきました。今回、初めての試みとして二研究会のみにより金沢にて合同開催します。場所を変えることでこれまでとは違った雰囲気・参加者で議論できることと期待しております。皆様のご参加をお待ちしております。

     



小シンポジウム「味の創造と継承」

午後5時15から8時00分まで + 午後12時30分から2時まで福光屋酒蔵見学あり

金沢は兼六園に代表される名所旧跡に加えて、おいしい料理とお酒が手軽に楽しめることが魅力です。金沢およびその近辺では豊富な水と良質の米を使って様々な日本酒が醸造されています。そこで本研究会では特別企画として、金沢市内で代々日本酒を造り続けてきたLinkIcon福光屋さんとLinkIconインテリジェントセンサーテクノロジーのご協力を得まして、日本酒の味の秘密に迫ってみたいと思います。インテリジェントセンサーテクノロジーは味覚センサーを開発し、人間の舌に近い味の判別を可能にしました。味覚センサーは酒の味を継承していく際、どのように役立てられるのでしょうか。そして、さらに新たな味を創造していく時、味覚センサーを使うことでどのようなアプローチが可能になるのでしょうか。伝統と技術が出会う様を日本酒の味を題材として吟味します。
以下の話題を予定しております.

  1. 日本酒の味わい 松井圭三氏(福光屋 常務取締役 生産本部長, 日本酒学講師/唎酒師/ソムリエ・ワインコーディネーター)
  2. 味覚センサーを使った日本酒の評価 池崎秀和氏(インテリジェントセンサーテクノロジー)
  3. JAISTでの味覚センサー活用事例 藤波努(北陸先端科学技術大学大学院)
  4. 福光屋さんの酒蔵見学(12時30分から2時まで)

 
味覚センサーや日本酒にご興味のある方はぜひご参加ください.


一般講演 SIG-SKL(7件)

児玉 謙太郎, 菊池 雄介, 山際 英男 (神奈川大学)
全身協調バランス・スポーツ “スラックライン” の身体技能:経験知に基づく仮説生成とその検証
[LinkIcon[PDF]] SKL-22-01 (pp. 1-5)
不安定なベルト状の綱の上でバランスをとるスラックラインの指導現場では、経験知に基づく身体技能の伝承が行われている。本発表では、それらに基づき生成した仮説と、それを検証した予備実験のデータについて報告する。

福島 宙輝 (慶應義塾大学政策 メディア研究科)
スキルとしての日本酒の味覚言語化
[LinkIcon[PDF]] SKL-22-02 (pp. 6-9)
本研究では日本酒を例題として、スキルとしての日本酒の味覚言語化を検討する。とりわけ味覚の概念構成と記号過程に着目し、人間が名詞、動詞、副詞の各意味世界構成をどのように実現しているのかを、味覚センサによる概念化と関連させつつ論じる。

山田 雅敏, 里 大輔, 坂本 勝信, 小山 ゆう, 松村 剛志, 砂子 岳彦, 竹内勇剛(常葉大学 健康プロデュース学部)
身体知の言語化とその段階モデル - 間身体性に注目して
[LinkIcon[PDF]] SKL-22-03 (pp. 10-22)
本研究では, 間身体性の端緒として、学習者と教授者のインタラクションを考慮した上で、身体知の熟達に対する言語化の数理モデルを構築し、その妥当性について、実践的検証を行った。その結果、身体知のコーチングを記述できる見通しができた.

野田 茂穂, 姫野 龍太郎, 奥野 敬丞 (国立研究開発法人 理化学研究所 情報基盤センター 計算工学応用開発ユニット)
加速度センサーを用いた回転物体の運動解析
[LinkIcon[PDF]] SKL-22-04 (pp. 23-25)
回転し飛翔する物体の運動は、初速に加え回転によって決まる。速度は即時に計測できるが、回転情報を即時に知ることは容易ではない。即時に回転情報を得る装置とその処理方法の研究研究について報告する。
 
日高 昇平, Wannipat Buated, 藤波 努  (北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科)
重心運動を指標としたパーキンソン病の潜在リスクの推定
[LinkIcon[PDF]] SKL-22-05 (pp. 26-29)
パーキンソン病の典型的な症状として、ぎこちない身体運動や、不随意的な手の振るえなどがあげられ、これらの運動制御の特性はパーキンソン病のリスクや進行状況の診断にも用いられる。本研究では、静止時や腕振り運動時の重心運動から、こうしたパーキンソン病の潜在リスクを簡便に推定する方法について、これまでの試みや知見を踏まえた議論を展開する。

 古川 康一, 升田 俊樹, 西山 武繁 (慶應義塾大学)
チェロ演奏動画の目視によるデータ獲得と演奏スタイルの分類
[LinkIcon[PDF]SKL-22-06 (pp. 30-33)
チェリストの演奏動画から、目視によって、演奏時の右手や体幹などの使い方に関する、肘の高さ、弓の返し時の手首の縦屈伸の利用の有無、体全体の左右の動きなどの、特徴的な10数項目にわたる属性データを獲得し、チェリストの演奏スタイルを分類する。分類の対象となるチェリストは、国内外のプロのチェリスト50名程度である。そのデータを元にクラスタリングを行い、どのような演奏スタイルが存在するのかを特定する。
  
内山光太, 伊藤毅志 (電気通信大学)
 ジャグリングの熟達における思考過程の分析‐3ボールカスケードの事例より‐
 [LinkIcon[PDF]] SKL-22-07 (pp. 34-41)
ジャグリングの3ボールカスケードを題材に、初心者7名を2週間に渡って練習をさせ、言語報告と動画の解析などにより、気付きや問題意識による身体知の獲得過程を詳細に調査した。
  

一般講演 SIG-KST(5件)

満行 泰河, 稗方 和夫, 大和 裕幸, ○松原 洸也 (東京大学)
作業員のスキルを考慮した船舶建造プロセスへの生産設備導入に関する研究
[概要] 造船所での新規生産設備導入は、作業速度や費用に加え、手直し作業の原因となる製品の製造誤差にも影響を与える。また、作業員のスキルの高低によっても製造誤差は影響を受ける。本研究では、船舶建造プロセスにおける生産設備の導入効果を、作業員のスキルを考慮したうえで評価する手法を提案する。その評価には製造誤差に基づく手直し作業を考慮した生産プロセスシミュレーションを用いる。船舶部材の工作精度評価システム導入を例として、提案手法の有用性を検証する。

坂口 憲一 (テクノソリューション)
ダイエットや健康増進を支援する活動量計の新たな活用提案
[概要] 社会保障費の抑制・削減のためには生活習慣の改善が必要であり,様々なダイエットや健康増進策とともに,活動量計も注目されている.活動量計は日常生活のエネルギー消費量に加えて,心拍数や睡眠時間等のバイタルデータも測定し,SNSで共有できるが,測定精度の向上や測定結果の有効活用が課題となっている.本稿では短期的な減量数値ではなく,継続的な体重維持を実現するための行動変容を促すことを目的とし、活動量計の新たな活用方法を提案する 

○福田 貴三郎, 村瀬 健太郎(富士通研), 松本 滋(FEAST), 笈田 佳彰, 岡田 伊策(富士通)
設計情報の可視化によるシステム改修における作業全貌の把握作業支援システムの提案
[概要] パッケージソフトや既存システムの改修において,改修対象となる機能の規模の見積りにおける具体的なWBS(Work Breakdown Structure)等の作業全貌の把握作業には,システムの全体構成や個々の機能の詳細に関する知識が不可欠であり,豊富な経験と高度なスキルを有するベテランSEのノウハウが必要である.本研究では,パッケージソフトや既存システムの設計書に記述されている情報を基に,作業全貌の把握作業時にベテランSEが頭に思い描いている,改修の影響範囲や改修における各機能の重要度などの設計情報を,簡単に把握できる形で可視化し,作業全貌の把握作業を支援するシステムを提案する.
 
○古川 慈之 (産総研)
デザインブレインマッピングと知識検索
[概要] 著者らは企業の製品企画・開発力の強化につながる議論の可視化と共有を支援するために、グラフ構造で知識とその関係性を記述するソフトウェア「デザインブレインマッピング(以下、DBM)ツール」の研究開発を実施している。DBMツールは専門家の知識を形式知化するための記述ツールとして開発が開始されたが、現在はブレインストーミングに代表される議論の過程を支援するための機能追加が実施されている。本発表では、議論の過程を支援する機能の一つとして、Web技術に基づく知識検索の導入について述べる。 

○中村覚,大和裕幸,稗方和夫,満行泰河(東京大),牧野元紀,會谷佳光(東洋文庫)
研究図書館の活動成果の関連付けによる知識活用支援に関する研究
[概要] 東洋文庫をはじめとする研究図書館の役割は、主に「図書等の研究資料の管理」「研究者による研究活動」「展示による啓蒙活動」である。これらの活動は相互に依存しており、研究者は所蔵資料に基づく研究を行い、それら資料や研究成果を展示を通して一般に公開する。しかし、これらは担当組織の違い等により、密に連携しているとは言いがたい。本研究では、これらの活動成果をLinked Dataを用いて関連づけ、研究図書館における知識活用を支援することを目的とする。


プログラム (敬称略) 

09:20 - 09:30 開会
09:30 - 09:50 内山光太, ジャグリングの熟達における思考過程の分析
09:50 - 10:10 古川康一, チェロ演奏動画の目視によるデータ獲得と演奏スタイルの分類 
10:10 - 10:30 松原洸也, 作業員のスキルを考慮した船舶建造プロセスへの生産設備導入に関する研究
10:30 - 10:50 日高昇平, 重心運動を指標としたパーキンソン病の潜在リスクの推定
10:50 - 11:10 中村覚, 研究図書館の活動成果の関連付けによる知識活用支援に関する研究
11:10 - 11:30 野田茂穂, 加速度センサーを用いた回転物体の運動解析
11:30 - 12:30 昼食 & 移動
12:30 - 14:00 福光屋さんの酒蔵見学
14:00 - 15:00 休憩
15:00 - 15:20 福田貴三郎, 設計情報の可視化によるシステム改修における作業全貌の把握作業支援システムの提案
15:20 - 15:40 山田雅敏, 身体知の言語化とその段階モデル
15:40 - 16:00 古川慈之, デザインブレインマッピングと知識検索
16:00 - 16:20 児玉謙太郎, 全身協調バランス・スポーツ “スラックライン” の身体技能
16:20 - 16:40 坂口憲一, ダイエットや健康増進を支援する活動量計の新たな活用提案
16:40 - 17:00 福島宙輝, スキルとしての日本酒の味覚言語化
17:00 - 17:15 休憩
17:15 - 20:00 小シンポジウム「味の創造と継承」
 

SIG-SKL 身体知研究会 
主査(代表) 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
主幹事 諏訪正樹 (慶應義塾大学)
幹事 

  • 古川康一 (嘉悦大学) 
  • 橋詰 謙 (大阪大学) 
  • 大武 美保子(千葉大学)
  • 松浦 慶総(横浜国立大学)
  • 奥野 敬丞(理化学研究所)

SIG-KST  LinkIcon知識・技術・技能の伝承支援研究会
主査(代表) 稗方和夫 (東京大学大学院新領域創成科学研究科)
主幹事 古川慈之(産業技術総合研究所)
幹事 

  • 青島大悟(株式会社ツールラボ)
  • 坂口憲一(株式会社テクノソリューション)
  • 佐久間正剛(株式会社東芝)
  • 松尾宏平(海上技術安全研究所)

問い合わせ先

 skl-reg(at)jaist.ac.jp
 上記(at)部分は@マークに置き換えてください


















稗方 和夫



児玉 謙太郎



福島 宙輝



 山田 雅敏



日高 昇平



古川 康一



内山光太



松原 洸也



坂口 憲一



福田 貴三郎



古川 慈之



松井圭三



池崎秀和


酒蔵見学(福光屋さん)