身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

HOME | 活動概要 | 第2回研究会の報告

更新日 2020-01-24 | 作成日 2015-10-14

身体知研究会

第二回研究会を以下のように開催しました:

  • 日時: 2008年 11月17日(月) 10:00-17:00
  • 場所: 大阪大学コンベンションセンター
  • 予稿集: [LinkIconPDF (2.9MB)] SIG-SKL-02 (26 pages)

招待講演

鷲田 清一(大阪大学総長)
演題: 「〈からだ〉への視点」
概要: 現象学的な視点からする身体のとらえ方について、専門用語をまじえずにお話ししたいと思っています。

岩田 一明(大阪大学・神戸大学名誉教授、国際高等研究所フェロー)
演題: 「スキルの科学」を考える ―ものづくりの視点より―
概要: 「熟練者枯渇の表出化問題」と喧伝された2007年は一見平穏裏に経過したが、問題が解決された雰囲気にはない。むしろ、スキルの本質を学術的に深考させつつ、スキルの獲得、伝承、人財育成などの現実問題を再考すべきとの指摘が出始めている。ここでは、「スキルを科学する」視点から、主としてものづくり分野におけるスキルの現状を概観しつつ、理解の枠組み、解明に向けてのアプローチや問題点の一端を考えてみたい。

一般講演

林 勲, 前田 利之, 藤井 政則, 王 碩玉, 田阪 登紀夫(関西大学 総合情報学部)
TAMネットワークによる卓球技能評価の検討
A Consideration on Table Tennis Technique Evaluation Using Motion Analysis Model by TAM Network
[LinkIconPDF (478KB)] SKL-02-01 (pp. 1-6)
[概要] 本研究では,撮影した卓球の返球動作を解析し,その卓球技能の評価についての検討を行った.具体的には,大学生を対象にして,卓球のフォアハンドストロークの連続画像から,TAMネットワークを用いて動作解析を行い,技能評価との関係を検討した.また,各プレーヤーの卓球技能を評価クラスとし,卓球アドバイザーの意見も参考に,ネットワーク構造から技能レベルの評価をファジィルールとして獲得して,技能レベルの入力変数の優先順位を求めた.

小田 邦彦(大阪電気通信大学 医療福祉工学部), 中村美奈子(お茶の水女子大学 文教育学部), 小島 一成(神奈川工科大学 情報学部)
舞踊動作の質的分析の試み
[LinkIconPDF (282KB)] SKL-02-02 (pp. 7-10)
[概要] 動作分析は,三次元動作解析装置などを用いて,詳細に行われるようになってきた.正常歩行などの基本動作の分析は生得的な基本パターンからの逸脱の度合いなどで評価される.その度合いを量的に評価することになる.舞踊動作は振り付けという形式の中での表現であり,基本パターンの組み合わせではあるものの,修飾的な動作が付加されるためにその特徴やスキルの量的な評価は困難である.今回,3種類の舞踊の動作分析を行い,舞踊のなかの歩行パターンを比較し,舞踊の基本的なスキルの特徴を質的に評価することを試みた. 

今村 健一郎, 筧 康明, 仰木 裕嗣(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科)
個人間相互作用を多重解像度で考える
[LinkIconPDF (429KB)] SKL-02-03 (pp. 11-16)
[概要] ものごとの変遷を観察するためには,一定のサンプリングレートを通した観察で十分だろうか.周波数帯ごとに同時に観察する方法(多重解像度解析)を通すことで,運動の新たなつながりが見えてくる.今回は,一対一の駆引き(水平方向追従動作)を例に,個人の重心間の相互作用ダイナミクスを多重解像度で観察してみた.部位と部位とのつながり,高周波から低周波への流れ,時々刻々の変遷など時空間周波数関係として運動を考えていきたい.

古屋 晋一, 片寄 晴弘, 木下 博(関西学院大学 理工学研究科)
熟練ピアニストの「しなやかな打鍵動作」の力学メカニズム
[LinkIconPDF (262KB)] SKL-02-04 (pp. 17-21)
[概要] 熟練ピアニストとピアノ初心者の打鍵動作の動力学的特徴の違いについて検討した.その結果,ピアニストは初心者に比べ,より多くの運動依存性の力を利用し,それにより,運動のエネルギー効率を高めていることが明らかとなった.

松尾 知之(大阪大学 医学系研究科)
熟練野球指導者の投手指導における不変項の抽出
[LinkIconPDF (392KB)] SKL-02-05 (pp. 22-26)
[概要] 野球指導者が投手を観察・指導する際に何を見,何を注意するのかを複数の熟練野球指導者へのインタビューから抽出した.どこに共通点があり,各指導者特有の視点はどこにあるのかについて報告する.

プログラム(敬称略)

10:00-10:05 開会挨拶: 橋詰 謙
10:05-10:40 林 勲ほか, TAMネットワークによる卓球技能評価の検討
10:40-11:15 小田 邦彦ほか, 舞踊の動作分析(仮題)
11:15-11:50 今村 健一郎ほか, 個人間相互作用を多重解像度で考える
11:50-12:50 昼食(休憩)
12:50-14:05 鷲田 清一, 〈からだ〉への視点
14:20-15:35 岩田 一明, 「スキルの科学」を考える-ものづくりの視点より
15:50-16:25 古屋 晋一ほか, 熟練ピアニストの「しなやかな打鍵動作」の力学メカニズム
16:25-17:00 松尾 知之, 熟練野球指導者の投手指導における不変項の抽出

主査(代表) 藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
主幹事 諏訪正樹 (慶應義塾大学)
幹事 

  • 古川康一 (慶應義塾大学) 
  • 橋詰 謙 (大阪大学) 
  • 工藤 和俊(東京大学)

問い合わせ先

 skl(at)jaist.ac.jp
 上記(at)部分は@マークに置き換えてください

招待講演


鷲田 清一(大阪大学総長)
専門は臨床哲学および倫理学.主書は「モードの迷宮」(ちくま学芸文庫),「『聴く』ことの力 -臨床哲学試論-」(TBSブリタニカ),「『待つ』ということ」(角川書店)など多数.平成元年 サントリー学芸賞 『分散する理性』『モードの迷宮』,平成12年 第3回桑原武夫学芸賞 『「聴く」ことの力』,平成16年 紫綬褒章.


岩田 一明(大阪大学・神戸大学名誉教授、国際高等研究所フェロー)
大阪大学・神戸大学名誉教授,機械振興協会技術研究所客員研究員,最高裁判所専門委員,製造科学技術センター・FAオープン推進協議会会長,その他,経済産業省・JSTなど各種委員,多数.表彰:国際生産研究学会,米国機械学会,国際製造学会,日本機械学会,精密工学会など多数.



一般講演


林 勲 (関西大学 総合情報学部)



小田 邦彦(大阪電気通信大学 医療福祉工学部)



今村 健一郎 (慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科)



古屋 晋一 (関西学院大学 理工学研究科)



松尾 知之(大阪大学 医学系研究科)

司会


橋詰 謙 (大阪大学 医学系研究科)