身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2020-12-20 | 作成日 2020-10-18

身体知研究会

第33回研究会を以下のように開催しました。

  • 日時:2020年11月28日(土)
  • 場所:オンライン開催(Zoom)
  • 参加費:無料
  • 発表申込期限:2020年10月31日(土)
  • 原稿提出期限:2020年11月21日(土)
  • 聴講申込期限:2020年11月27日(金)
  • 予稿集:LinkIconPDF( 975 KB, 5 pages, SKL-33)

特集テーマ「体操競技採点支援の取り組み」

企画者:橋詰 謙(大阪大学)

スポーツなどの身体的スキルを解明するには、いろいろな視点がある。

1.身体各部の協調構造の解明や評価である。身体のどの部とどの部がどのようなタイミングやリズムで協調しているか、それを生み出すのは単に内力(筋力)だけでなく、遠心力や重力の上手な活用が必要である。

2.プレーをしている環境との相互作用である。水泳はその典型であるが、いかに水の抵抗を減らし、効率的に推進できるかが鍵となる。体操競技では鉄棒や床の反発力を上手に利用しなければならない。またボールや相手選手が存在する種目では、それらとの関係性(間合い)の中で動きを作ることが必要である。

3.ミスの修正力である。すべての状況において、すべてプラン通りの動きを完遂することは不可能であり、必ず微妙なズレをともなう。それらを折込済みで、臨機応変、且つ的確なカバーの連続で乗り切っていくのが優秀なアスリートであろう。

4.知覚情報の利用である。視覚情報は元より、身体の動き、床からの反発力、水圧や雪面状況などを(意識・無意識を問わず)瞬時に判断することが求められる。これは上記の項目と極めて重要な関係を持つ。

ICTやPCの進化により、アスリートの高速動作を精度高く分析することが可能になってきた。今回の招待講演では、体操競技においてほぼリアルタイムで自動採点までに到達し、東京オリンピックでも採用予定であった富士通の技術を解説していただく。このシステムは上記1との関係が強いが、2~4との関係性が強まれば、種目を問わず技を進化させたり、その出来栄えを格段にアップさせることに役立つであろう。

【招待講演】

発表者:矢吹 彰彦 氏(富士通研究所)
タイトル:「3Dセンシング技術による体操競技採点支援の取り組み」
アブストラクト:スポーツにおける判定力、競技力や観戦力の向上をICTで支援するサービスの創出に取り組んでいる。判定の正確さや公平性への要求が高いのは、体操を代表とする採点競技である。そのために実競技の場で計測できる様に開発したレーザセンサを用いて選手の複雑な動きを3次元で正確に数値化し,機械学習などを利用してデータから運動を解析する3Dセンシング技術を開発した。本技術による体操競技の自動採点支援の取り組みを紹介する。

コメンテーター:髙橋 孝徳(東京国際大学)
司会:橋詰 謙(大阪大学)

【一般講演】

○山田 雅之(九州工業大学)、大海 悠太(東京工芸大学)、遠山 紗矢香(静岡大学)
「身体知の共有を目指した学習環境の検討」LinkIconPDF
本研究は,今日の我が国における多様な学習環境において,身体知の共有を目指した学習環境について検討した.具体的には同期型・非同期型のスポーツスキルの獲得過程について検討する.

○池田 京子(信州大学)、香山 瑞恵、山口 道子、小畑 朱実、谷 友博、山下 泰樹、浅沼 和志、伊東 一典
「歌声の「印象評価語」と「指導語」の抽出と分類 ~最適な指導語を求めて~」LinkIconPDF
クラシックのプロ歌手たちが、音楽大学等で指導する声楽専攻学生の歌声を収音し、その歌声の「印象評価語」を抽出して3因子に分類した。実際の歌声に最適な「指導語」を指摘し、指導の場で用いられている曖昧な言語表現を統一・分類してその客観性を高めた。

【プログラム】

13:00-13:05 開会
13:05-13:40 一般発表①「身体知の共有を目指した学習環境の検討」(山田雅之・九州工業大学)
13:40-14:15 一般発表②「歌声の「印象評価語」と「指導語」の抽出と分類 ~最適な指導語を求めて~」(池田京子・信州大学)
14:15-14:25 休憩
14:25-14:30 企画趣旨
14:30-15:30 招待講演
15:30-15:50 コメント
15:50-16:25 質疑
16:25-16:30 閉会

SIG-SKL 身体知研究会

主査(代表) 諏訪 正樹 (慶應義塾大学)
主幹事 松浦 慶総 (横浜国立大学)

幹事
伊藤 毅志 (電気通信大学)
大海 悠太 (東京工芸大学)
大武 美保子 (理化学研究所)
児玉 謙太郎 (東京都立大学)
清水 大地 (東京大学)
白水 始 (東京大学)
橋詰 謙 (大阪大学)
松田 浩一 (岩手県立大学)

連絡委員
藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
鳥居 拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
永井 孝 (ものつくり大学)
堀内 隆仁 (慶應義塾大学政策・メディア研究科)
山田 雅之 (九州工業大学)

 

問い合わせ先

 skl-reg(at)ml.jaist.ac.jp

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