身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2021-05-25 | 作成日 2021-03-28

第34回身体知研究会

研究会を以下のように開催しました。

  • 日時:2021年5月15日(土)13:00-17:45
  • 場所:オンライン開催(Zoom)
  • 参加費:無料
  • 予稿集:LinkIconPDF( 8.7 MB, 24 pages, SKL-34)

特集テーマ

企画テーマ趣旨:「ものづくりと身体知−“心地よい“ものづくりの実現に向けて—」
企画者:松浦 慶総(横浜国立大学)

かつて「技術立国」「ものづくり大国」と呼ばれていた日本のものづくり産業は,1990年代後半に始まった情報革命以降,国際的競争や環境問題に対応する必要があり,非常に厳しい状況に置かれている.同時にこれまでの高度な技術・技能によるものづくりを支えてきた熟練技能者が退職し,若年労働者の就労率が減少している問題も生じている.
一方,これまで世界的に「Made in Japan」として評価されてきた日本製品は,単に低価格で高機能だけではなく,使う「もの」としてものづくりをしてきたと考えることができる.“使い心地“の良い製品をつくるには,使う「人」のことを考え,「人」を良く知らなければなければならない.単に製品に対する人の部位や動作をモデル化し,パラメータ化しただけでは離散的であり,「使い心地」や「馴染む」製品を設計,製作することは難しいのではないか.伝統工業の分野で匠と呼ばれる熟練技能者は,使う人の動きやくせを観察し,使う環境,使っている情景までを考えて設計,製作をしているから,心地よい使用感や使い込むほど手になじむ製品を産み出していると考えられる.このような感覚がこれまでの日本のものづくり産業に生かされているから,コスト面では厳しい状況でありながら,世界的にまだ評価されていると考える.
このような背景から,ものづくりには身体知が非常に関係するのではないかということで「ものづくりと身体知−“心地よい“ものづくりの実現に向けて—」という特集を企画し,以下のような内容に関係する研究発表を募集する.

  • 使い心地を考えたデザインや設計
  • ものの使い心地や使い勝手と身体知
  • ものづくりと身体知
  • デザイン,ものづくりに関する教育
  • もの使い・ものづくりの計測技術

招待講演

招待講演1

田村 純 氏(株式会社GKダイナミックス プロダクト動態デザイン部)
「モーターサイクルのデザイン 共感と機能の見える化」

招待講演2

伊東 正皓 氏(アキュイティー株式会社)
「ものづくりにおけるカン・コツ・暗黙知の可視化とデジタル化ソリューション」

特集講演

○猿舘 駿(岩手県立大学)、松田 浩一(岩手県立大学)、井上 研司(東光舎)
「ハサミ加工の指使いに着目した圧力計測による技能差の表出」LinkIconPDF
本研究では,繊細さが要求されるハサミ加工の指使いに着目し,技能差の表出を試みた.作業に用いる両手の親指・人差し指の圧力を計測し,計測値をもとに職人から聞き取りを行った結果,データの挙動が技能差と対応していることが分かった.

○松浦 慶総(横浜国立大学)
「ものづくり分野における身体技能教育の役割と教育支援技術開発」LinkIconPDF
近年では多種多様なものづくり現場で無人化が進んでいるが,製品に対してより高機能化,高精度化が求められると,人のものづくり技能が重要となる.本発表ではこれからの身体技能教育の役割と,どのような教育支援技術の開発が求めれるかを考察する.

一般講演

○得丸 久文(カラハリプロジェクト)
「日本人が自分の頭で考えるとき」LinkIconPDF
日本人は自分の頭で考えない傾向が強い。東アジアモンスーンでの農耕生活や島国であることが大きく影響している。しかし歴史的には自分の頭で考えて、極めてユニークな技術を産み出した者もいる。彼らを産んだ環境について考察する

○西村 拓一(産業技術総合研究所)
「身体表現における指導の声がけの目的と結果の計測」LinkIconPDF
社交ダンスに関する指導時の声がけを収集し、その種類を身体の部位や抽象度などで分類する。一部の声がけに関して現状と声がけ後の状態をバイオメカニクス技術で計測する。これにより声がけの指導者による違いと指導効果の評価を試みる。

プログラム

13:00-13:05 開会
13:05-13:40 一般講演①「日本人が自分の頭で考えるとき」(得丸 久文、カラハリプロジェクト)
13:40-14:15 一般講演②「身体表現における指導の声がけの目的と結果の計測」(西村 拓一、産業技術総合研究所)
14:15-14:25 休憩
14:25-14:30 企画趣旨
14:30-15:25 招待講演①
15:25-16:20 招待講演②
16:20-16:30 休憩
16:30-17:05 特集講演① 「ハサミ加工の指使いに着目した圧力計測による技能差の表出」(猿舘 駿、岩手県立大学)
17:05-17:40 特集講演② 「ものづくり分野における身体技能教育の役割と教育支援技術開発」(松浦 慶総、横浜国立大学)
17:40-17:45 閉会

SIG-SKL 身体知研究会

主査(代表) 諏訪 正樹 (慶應義塾大学)
主幹事 松浦 慶総 (横浜国立大学)

幹事
伊藤 毅志 (電気通信大学)
大海 悠太 (東京工芸大学)
大武 美保子 (理化学研究所)
児玉 謙太郎 (東京都立大学)
清水 大地 (東京大学)
白水 始 (東京大学)
橋詰 謙 (大阪大学)
松田 浩一 (岩手県立大学)

連絡委員
藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
鳥居 拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
永井 孝 (ものつくり大学)
堀内 隆仁 (慶應義塾大学政策・メディア研究科)
山田 雅之 (九州工業大学)

問い合わせ先

jimu(at)sigskl.org
上記(at)部分は@マークに置き換えてください。