身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2022-08-19 | 作成日 2021-12-20

第36回身体知研究会

研究会を以下のように開催しました。

  • 日時:2022年2月12日(土)13:00-16:15
  • 場所:Zoomによるオンライン開催
    * 参加申込者にZoomリンクをご案内しました。
  • 参加費:無料
  • 予稿集:LinkIconPDF( 2.4 MB, 10 pages, SKL-36)

特集テーマ・発表募集

企画テーマ趣旨:身体知は「教え」られるか?
企画者:白水 始(国立教育政策研究所/東京大学)

本研究会では,身体「知」という個人が自らの身体について構成する知を,他人同士の間で「教える」という行為が本当に成り立つのかをじっくり議論することを通して,教育という営みそのものについて考える機会とする。認知主義的教育観は,行動主義的な教え込みに対して,学習者自らが問いを把握し解を作り上げる能動性・構成性の重要性を指摘してきた。しかし,人工知能の発達によって,領域を限れば学ぶ内容や学び方に関する「正解」が見つかるとの期待が生まれ,コロナ禍によって加速された教育のオンライン化による伝達主義の復興が相まって,「正解伝達主義」がかつてないほど力を持ち始めている。身体知を巡る実践・研究もその影響から無縁 ではないだろう。そこで本研究会では,身体知を題材に,これからの時代において教育や学習がどのような過程であるべきかについての私たちの洞察やマインドセット(観)を深めるべく,各種対談や講演を題材に議論を行う。

特別対談では,今夏の五輪・パラリンピックに出場した複数の選手のコーチを務めた高野大樹氏にお越しいただき,前半は高校生相手に実技を「知識構成型ジグソー法」授業で教えようとした試みを振り返り,その手応えと限界を語る。後半はプロのアスリート相手にコーチングを通して,何を教えたと言えるのか,インタラクティブにその気づきを引き出しただけだったのかなどを振り返ってもらう。続いて,招待講演では諏訪正樹氏から氏の豊かな身体知研究の蓄積をもとに,このテーマについての知見と議論材料を提供いただく。

企画テーマに関連の深い発表も募集する。以下のような研究テーマの発表を歓迎するが,これにこだわらず広く身体知に関する教育も歓迎する。

  • スポーツプレイヤの身体知と熟達化,その教育
  • プレイヤの熟達化の「正解」の可能性
  • 熟達化を支える行動・認知データの可視化技術
  • コーチ,指導者からみた身体知の教育

協力:科研費基盤S「評価の刷新:学習科学による授業モニタリングシステムの開発と社会実装」(17H06107 研究代表者 白水始)

プログラム

<テーマセッション>
13:00-13:05 趣旨説明(白水)
13:05-14:05 【特別対談(招待)】話者:高野大樹、聞き手:白水始
14:05-14:10 休憩
14:10-14:55 【招待講演】講演者:諏訪正樹、ディスカッサント:高野大樹,白水始 ※30分講演,15分議論
14:55-15:15 【企画テーマに関連の深い発表】
・身体運動の指導場面における場面に連接した身体的実演と言語的説明の再定式化:李榮賢 ※15分発表,5分議論
15:15-15:30 休憩

<一般セッション>
15:30-16:10 【身体知全般についての発表】
・手術室器械出し看護師の良い渡し方の分析に関する一考察:佐藤大介・松田浩一 ※15分発表,5分議論
・リハビリテーションにおける起立動作に対するハンドリング技術の分析 -Jerk Indexからの検討-:宮本一巧・阪上雅昭・塩瀬隆之 ※15分発表,5分議論
16:10-16:15 閉会

【企画テーマに関連の深い発表】

1.○李 榮賢
「身体運動の指導場面における場面に連接した身体的実演と言語的説明の再定式化」
概要:身体運動の指導場面では教師は「わざ」や一連の動きを生徒に教えるため、身体的実演と言語的説明の双方を用いて指導を行う。教師の教示と生徒の練習、生徒の練習に対する評価が反復的に行われる中、身体的実演と言語的説明が精密に変化し、再定式化されていく

【身体知全般についての発表】

2.○佐藤 大介、松田 浩一
「手術室器械出し看護師の良い渡し方の分析に関する一考察」 LinkIconPDF
概要:本研究では,手術室器械出し看護師による器械の渡し方の動きに着目し,〝できる器械出し看護師〟とはどの様な動きをしているのか検証した.その結果,渡される時のタイミング(秒数)が大きく関わっていることが分かった.

3.○宮本 一巧、阪上 雅昭、塩瀬 隆之
「リハビリテーションにおける起立動作に対するハンドリング技術の分析 -Jerk Indexからの検討-」 LinkIconPDF
概要:リハビリテーションにおいて、上級者と中級者、初級者を比較することで熟練者にみられる特徴の抽出を目的とした。各身体のマーカーの軌跡からjerk indexを算出した。結果、上級者では身体運動の円滑さの高さが示された。

SIG-SKL 身体知研究会

主査(代表) 諏訪 正樹 (慶應義塾大学)
主幹事 松浦 慶総 (横浜国立大学)

幹事
伊藤 毅志 (電気通信大学)
大海 悠太 (東京工芸大学)
大武 美保子 (理化学研究所)
児玉 謙太郎 (東京都立大学)
清水 大地 (東京大学)
白水 始 (東京大学)
橋詰 謙 (大阪大学)
松田 浩一 (岩手県立大学)

連絡委員
藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)
鳥居 拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
永井 孝 (ものつくり大学)
堀内 隆仁 (慶應義塾大学政策・メディア研究科)
山田 雅之 (九州工業大学)

問い合わせ先

jimu(at)sigskl.org
上記(at)部分は@マークに置き換えてください。