身体知研究会

身体技能を言語化する方法論の確立

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更新日 2023-06-04 | 作成日 2023-06-04

第41回身体知研究会

研究会を以下のように開催いたしました。

  • 日時:2023年11月25日(土)13:00-17:30
  • 場所:東京工芸大学中野キャンパス1号館1204教室(現地開催のみ)
    https://www.t-kougei.ac.jp/access/#nakano
  • 参加費:無料
  • 予稿集: LinkIconPDF(13 pages, SIG-SKL-41)

特集テーマ

企画テーマ:こどもの身体知
企画者:山田雅之(九州工業大学)
第41回身体知研究会の一部は公益財団法人KDDI財団の2023年度調査研究助成(「乳幼児の姿勢モニタリングシステムの開発」研究代表者:山田雅之)の支援を受け実施しております.

第41回の本研究会ではこどもの身体知をテーマとした.こどもの学習や発達の過程には身体知が溢れている.こどもたちは日々の生活の中で多くのことに対して身体をうまく活用して学習している.その過程では言語化が可能なものもそうでないものも多様に存在し,複雑に入り組んでいると考えられる. これに対し今日では,テクノロジーの発達により多くの学習や発達の過程に関する知見が明らかになりつつある.しかしながら,こどもゆえに研究ではその過程の複雑さや曖昧さが未だに多く見られる.例えば,大人であればメタ認知を言語報告するような手法が可能であるが,こどもゆえにその難しさについても考える必要がある.こうした側面も勘案し,こどもの身体知にアプローチするには,認知科学や発達心理学等の多様な領域からの検討が求められている.

招待講演では,認知科学をバックグラウンドに長年に渡りこどもの発達過程に対して,テクノロジーも活用した研究を継続していらっしゃる宮崎美智子先生を招待し,ご講演をいただく.認知科学を背景にこどもの発達の過程について,多様な検討をされてきたこれまでの研究知見が身体知とどう関わるかついて議論していきたいと考えている。

あわせて、企画テーマに関連の深いこどもの身体知に関わる発表も募集する。上記の研究テーマに関連する発表を歓迎するが、これにこだわらず広く身体知に関する研究も歓迎する。特に今回の研究会では,これまでの発表に加え,ショートの発表枠も募集するため,研究の構想段階の学生や院生の発表についても歓迎する.

招待講演者:
宮崎美智子 先生(大妻女子大学)
タイトル:「乳幼児の自己認識発達の理解にテクノロジーを役立てる工夫」
概要:私が関心を抱く0歳~3歳くらいの乳幼児が見ている世界はユニークで、その発達的変化も興味深い。特に自己認識の発達は、ヒトの社会性の発達を考えるには欠かせない古くからの重要トピックである。しかしながら、乳幼児を対象とした研究には、成人の研究とは異なる方法論上の困難さがある。たとえば、言語教示の困難さ、課題に対する動機づけの困難さ、複雑/繊細な操作を伴う課題が課せられない制約、などである。乳幼児研究では、これらに配慮した課題設計と評価が求められる。
 本講演では、自己認識発達の理解を進めるために私たちが取り組んできた研究をいくつか紹介する。技術者ではない立場で研究にテクノロジーを取り入れてきた工夫についてもお話しできればと思う。これらを踏まえ、乳幼児を対象とした研究のやりがいと面白さを聴衆と共有し、自己認識発達における身体の役割について議論が深められれば幸いである。

プログラム


13:00-13:05 開会の挨拶

13:05-13:10 開会/企画テーマ「こどもの身体知」趣旨説明:山田 雅之(九州工業大学)


【招待講演】
講演者:宮崎美智子 先生(大妻女子大学)
タイトル:乳幼児の自己認識発達の理解にテクノロジーを役立てる工夫

14:20−14:30 休憩


【テーマ関連発表】(3件)
座長:山田雅之(九州工業大学)

14:30-15:10 「ダイナミックシステムアプローチと乳幼児のことばの発達」
阪上雅昭,萩原広道,深田智,山本寛樹
(発表25分+質疑15分)

15:10-15:30 「学童野球チームにおける知識構造化による指導者の支援−アセスメントをもとにした指導の提案−」
山田峻嵩,西村拓一
(発表12分+質疑8分)

15:30-15:50 「乳幼児の動作検出のための画像認識とキャプション生成AI利用の検討」
大海悠太,大野優斗,遠山紗矢香,近藤秀樹,山田 雅之
(発表12分+質疑8分)

15:50-16:00 休憩(10分)


【一般発表】(1件)
座長:松浦 慶総 (横浜国立大学)

16:00-16:20 「動画・知識を踏まえた指導の声がけの特徴 ―社交ダンスにおける動作の指導を踏まえて」
加藤晶太,伊集院幸輝,押山千秋,西村拓一
(発表12分+質疑8分)


【一般招待公演】(1件)
座長:松浦 慶総 (横浜国立大学)

16:20-17:30 「Bricolageの時代」
招待講演者:福田収一 先生(慶應義塾大学)
講演概要:産業社会も終末に近づいて、次の世代の社会をデザイン、開発する時となった。 産業社会はものづくりの社会であり、Productの生産性をあげるために分業を導入した。そのため、私達は人のためにはたらくようになった。人間は自分がしたいことを自分の意思決定で実行した時に最大の幸福感、達成感を得る。しかし、産業社会では私達はこうした最高の幸福感、達成感を得ることができなかった。しかし、産業社会は産業を中心にしているために過大なエネルギー消費など多くの問題を産み出した。この方式、すなわち、Product中心で、Processの向上を目指す社会を続けてゆけば人類も消滅せざるを得ない。
しかし、人間の特性は他の生物と異なり、未来を考えることができることである。
そして人間が楽しむのはその未来を夢見て、自分の夢を実現することである。重要なことは夢は実現しなくてもよい。夢の実現のために努力、挑戦をすることが重要なのである。人間は挑戦する生物である。産業革命以前は私達は自分の夢をかなえるために働いた。
そしてそこでは、いかに自分の資源(能力、材料など)を最大活用するかが重要であった。別の表現をすれば産業社会はHow, Deeper and Deeperが重要であるが、産業革命以前はWhat, Why, Wider and Widerの世界であった。次の世代はこうした人間の特性を最大活用するBricolageの世界としたい。すなわち、自給自足の社会としたい。そのためにはTechnologyは誰でも、赤ん坊でも操作でき、自給でき、そしてそうした活動を通して自分の生活を最高の満足感で満たしたい。そのためには、身体感覚をもっと活用すべきであり、Technologyというよりも、Engineeringである。赤ん坊が教わりもしないのにハイハイし、歩き、言葉を覚えることから学ぶ必要がある。赤ん坊は自分の世界を創造しているのである。生きるとは創造であり、開拓である。ぜひ22世紀をBricolageの時代としたいと願っている。

17:30 閉会

発表・聴講募集

  • 発表申込期限:2023年11月3日(金)
  • 原稿提出期限:2023年11月20日(月)
  • 聴聴講申込期限:2023年11月22日(水)
  • 研究会開催日:2023年11月25日(土)

発表原稿

研究会資料はPDF形式で研究会Webサイトにて公開します。
原稿フォーマットはA4サイズで6ページを標準としますが、
1ページから最大8ページまで可です。
人工知能学会 研究会スタイル・ファイルをご利用ください。
http://www.ai-gakkai.or.jp/sig/announce/sig-style/
原稿提出が間に合わない場合は研究会後(7日後までに)の提出でもかまいません。

[発表原稿の提出先]
jimu(at)sigskl.org
左記(at)部分は@マークに置き換えてください。

発表または聴講を希望される方

発表は通常の40分(発表25分,質疑応答15分)の他にショート20分(発表12分,質疑応答8分)も受け付けます.
ショートの発表では,学生・院生の構想段階の研究等も大歓迎です.

発表申込期限,聴講申込期限までに,下記のフォームに必要事項を記入してお送りください。

発表・聴講申し込みフォーム

SIG-SKL 身体知研究会

主査(代表) 松浦 慶総 (横浜国立大学)
主幹事 大海 悠太 (東京工芸大学)

幹事
伊藤 毅志 (電気通信大学)
榎本 美香(東京工科大学)
香山 瑞恵(信州大学)
児玉 謙太郎 (東京都立大学)
清水 大地 (東京大学)
白水 始 (国立教育政策研究所)
諏訪 正樹 (慶應義塾大学)
永井 孝(ものつくり大学)
堀内 隆仁(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
松田 浩一 (岩手県立大学)
山田 雅之(九州工業大学)

連絡委員
橋詰 謙 (大阪大学)
藤波 努 (北陸先端科学技術大学院大学)

問い合わせ先

jimu(at)sigskl.org
上記(at)部分は@マークに置き換えてください。